円満解雇・辞めてもらう場合に、トラブルを避けるために知っておくべきポイント
2016/12/04
弊社では、「解雇のコツ」を教材として提供しているためか、その手続やコツについての相談が、しばしばあります。そこで情報をまとめてみましたので参考にしてみて下さい。
せっかく雇った社員に、辞めてもらうのは悩ましいことです。
解雇を告げるのは心が痛むのと同時に、トラブルへと発展しかねない不安も、頭をよぎります。
解雇を告げられるほうも心にショックを受けます。でも解雇を告げるほうも心は痛み辛い気持ちになります。
お互いが辛い想いをするのが解雇です。
それだけデリケートな問題なので、いろいろな情報を知っておけば役立つこともあるはずです。
目次
社員を辞めさせたくなる、いろんな理由
- 仕事は出来るのだが、性格が攻撃的すぎて他の社員への悪影響が出てしまっている。
- 普段は良いリーダーなのだが、ほんの数人の社員を相手にすると、途端にパワハラをする。
- 会社や社長の悪口を、社内で他の社員に言ってまわる。
- 上司が見ていないと仕事をさぼってマンガ喫茶へ行ってしまい、お客さんから「マンガ喫茶におたくの社有車停まってるよ」と教えてもらい恥をかいた。
- 仕事中にパチンコへ行くだけでも問題なのに、プライベートで多額の借金をしているらしく、もう素行がおかしい。
- 新人パート社員が入ると、いじめまくって辞めさせてしまうベテランパートさん
- 仕事は出来るのだが、あまりにも遅刻がひどい。他の社員への示しがつかず、注意をすると開きなおる。
- 入れ墨を入れていることがわかった。もしお客さんに見られるような事があったら・・・
- 無断欠勤がひどい。
その他にも、仕事をしない人を辞めさせたいとか、使えない社員、ダメな社員を辞めさせたい、問題ばかり起こす社員に辞めてほしい・・・
いろんな事情があって、「辞めたほうがいいよ」と伝えたいこともあるでしょう。
そう悩み思いつつ、時間ばかりが過ぎていく、そんな社長さんを多く見てきています。
◆解雇にまつわるトラブル
辞めてもらいたい、とか、辞めさせたい、と思っているにも関わらず、それが実行に移せないのには理由があります。
- 人員が足らなくなり、仕事が回っていかなくなってしまう。
- 求人が難しくて、人員の「穴」を埋めるのに手間がかかる。
- 円満に辞めてもらわないと、非協力的になれば、引き継ぎが出来なくなってしまう。
- 弁護士さんを使って不当解雇だと裁判にでもされたらどうしたらいいか困る。
- 訴訟に発展して支払い命令が下ったケースを友人の社長から聞いた。
- インターネットなどの掲示板や口コミサイトなどで、会社の悪口など、あることないこと嫌がらせをうけたら困る。
- 実際に、不当解雇で支払命令が300万円とかになれば、金銭的なダメージは相当大きくなります。
出来れば、穏便に、お互いが、心理的なわだかまりを残すことなく、円満退職、円満解雇で終わるのが一番です。
しかし、その方法がわからないのです。
少し調べてみましたので、ご参考にしてみて下さい。
◆解雇の種類と、その特徴を知っておくこと
- 普通解雇
これは、下記の「整理解雇」や、「懲戒解雇」に含まれない解雇のことです。
これ以上働いてもらうことが出来ないような「事情」が無いと出来ません。
例えば、仕事の成績がものすごく悪くて、どれだけ指導をしても改善の見込みがもう無い。
その他、健康上の問題があって、それが理由で長期にわたり職場に復帰することが出来そうもない。
他にも、協調性に欠けるにも度が過ぎていて、仕事に支障が出ており、改善指示をするも見込みが無い。
だけれども、上記を読めば分かる通り、「成績が悪いってどれぐらい?」、「見込みが無いってどういうこと?」「健康上の問題って、ひどい腰痛も該当するの?」「仕事に支障が出てるって、証拠はあるの?」というように、トラブルの匂いがぷんぷんしますよね。
- 整理解雇
これは、会社の業績が悪くなったとか、人員整理をしなければならない場合に行われる解雇です。
次の4つを満たす必要があります。
①整理解雇することに客観的な必要があること
②解雇を回避するために最大限の努力を行ったこと
③解雇の対象となる人選の基準、運用が合理的に行われていること
④労使間で十分に協議を行ったこと
これだって、「最大限の努力ってなにか?」とか、「どうして私が解雇対象に選ばれなければならないのか!」とか、トラブル不可避な気がします。
- 懲戒解雇
従業員が極めて悪質な規律違反や非行を行ったときに懲戒処分として行うための解雇です。
ただし、就業規則や労働契約書に、その要件を具体的に明示しておくことが必要になります。
インターネットで探してきた就業規則をそのままダウンロードしたままコピペして使用している会社も少なくありません。
だけれども、その就業規則に、どんな「懲戒要件」が書かれているか知らない社長さんがほとんどのはずなのです。
※なお、厚生労働省の公式ホームページからも、「モデル就業規則」はダウンロード出来ます。
しかも、こうした解雇権の濫用による解雇は無効だとされています。
仮に、就業規則や労働契約書にしっかりと書かれていたとしても、
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と法律で定められているのです。
「体調が悪く連絡できないまま無断欠勤をした」といったやむを得ない理由があった場合や、単に「お店の商品を度々壊した」とか、「何度注意しても、ズボンの腰履きをなおさず服装がだらしない」といった理由だけで解雇することは出来ないわけです。
「クビだ!解雇!」って言いたいところですが、トラブルの匂いはプンプンします。
だからこそ、出来れば、お互いが合意をしながら辞める、という方向性へと持っていくことが大切だと思うのです。
◆合意をしながら辞めるためには、話し合いは大事だが・・・
- 窓のない会議室を使わないこと
密室で「辞めたらどうか?」という話をするというのは、それだけで、圧迫するという意味に取られる可能性があります。
開放感のある部屋でやる必要があるということです。 - 業務時間外にやらないこと
仕事の話だが、他の社員がいると話にくいから、仕事が終わって飲み屋でちょっと話そう、、、みたいなのはダメだということです。
あくまでも辞める辞めないは、仕事の話なのですから、業務時間中に行うことが大事です。 - 1回あたりの面接時間を長くし過ぎないこと
宗教の勧誘みたいな注意書きですが、説得効果を高めるには「ねばる」のが大事と言われますが、それは無理強いしたということになりかねません。
無理強いしたと主張されれば、不当だとの訴えには負けてしまうことでしょう。 - 録音されている可能性を考えて話すこと
『いざとなったら「お前クビだ!」と言いたいところだけどさ、そうは言いたくないじゃない。だからさ・・・』
社長が社員さんに対して、上記のような事を口にしたら・・・
はい。それでアウトです。
もし録音されていて、悪意のある編集をされたら、「お前クビだ!」の部分だけを記録音声として残されてしまいます。 - 議論(言い合い)にならないようにすること
人間は、「感情」と「事実」を混ぜて話す傾向があります。
それに怒りが湧いてくれば、それは態度にも出てしまいますよね。
だからこそ、出来るだけ冷静に、言い合いになってしまわない工夫が必要です。
その他にもありますが、要するに、社長さんが普通に想像する以上に、
「労働者は守られているのだな」ということを頭に置いて話をすることが大切なのでしょう。
◆辞めてもらうのも一苦労
いかがでしょうか?
辞めてもらうというのは簡単なことではないようですね。
特に、社長さんは悩ましい想いをされていることと思います。
少しでも参考にして頂ければ、と思って、いろいろと情報を整理してみました。
参考にしてください。
さらに、実務的なマニュアルについて
なお、読み物の記事として参考になったという方だけでなく、「より実務的な手続きや、マニュアルは無いか?」という方には、下記の教材をご紹介しております。
「お互いが合意のもとでお別れする」という方法について、詳しく手順を解説しておりますので、どうぞ参考にして頂けましたら幸いです。
教材名称:ビジネス法務シリーズVol.1 正しい辞めさせ方 https://www.marketingtornado.co.jp/edu/tadashii-yamesasekata.html 内容: お互いにとって、わだかまりの残らない「辞めてもらい方」を伝授する教材です。今現在、「辞めてほしい人がいる」社長さんや、採用を考えている社長さんには、ぜひ事前にこの知識を持っておいてください。(こちらの教材は、中身が分からないように、あえてパッケージを付けずにお送りします) |
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