強い営業マンを育てる営業ロールプレイング(ロープレ)のコツ
2019/05/14
株式会社マーケティング・トルネード佐藤です。お読み頂きありがとうございます。
営業マンが2人以上になれば、嫌でも「優・劣」という結果がでます。
優れた営業マンがいる一方で、反対に、劣っている営業マンは良い成績を出すことが出来ません。
どれだけ頑張ったとしても、数字という結果から逃れることは出来ません。
営業という職業は、どうしても「数字」で計られてしまうことが多い職業なのです。
何件のアポイントを取りつけ、何件面談し、何件クロージングしたか・・・。
その数字で優秀な営業マンか、成績の悪い営業マンか、その優劣が明確に出る厳しい世界です。
だからこそ、努力や工夫が必要になります。
どのような事であっても、一部の天才を除いて、「努力」や「工夫」によってある程度の結果を出すことが出来るようになるからです。
私はこれまで何千人もの営業マン(営業パーソン)を指導してきました。
だからこそ判ることもあります。
一部の天才営業マンというのは、確かに存在します。
彼らを見ていると、生まれつきの才能があるようにも見えます。小さな頃から、社交性やコミュニケーション能力は磨かれ、その才能は開花し、会社に入社してすぐに成績を出し始めます。
でも、多くの営業マンはそうではありません。企業のなかで営業部門でMVPを受賞するぐらいの営業マンでさえも、「努力」や「工夫」を続けています。
しかし、無駄な努力ではいけません。
「正しい努力とは何か?」をしっかり情報収集し、正しく練習・努力をして欲しいのです。
「正しい情報・ノウハウはなにか?」「正しい努力・工夫とは?」をしっかり見極め、練習をすることが大切です。
目次
営業ロールプレイング(ロープレ)の目的
どうして営業 ロールプレイングが必要なのか?
「ロールプレイングって、なんか苦手だ・・・」
「ロールプレイングなんて、なんか恥ずかしくて出来ない…」
「相手が知人だと、気持ちが本気になれない」
「営業の現場ってのは、すべてアドリブなのだから、ロープレなんてしても、無駄でしょ…」
そんな風に考える人がいますが、それは間違いです。
例えば、どれだけ名俳優だって、お芝居を「稽古なし」でぶっつけ本番で挑む人なんていません。
どんなに一流の野球選手だって、練習試合や、本番を想定したトレーニングをします。
格闘技の選手だって、相手は人間で、まったく同じ攻撃なんてありえなくても、練習・スパーリングをやります。
営業マンだって同じなのです。
ロープレによって、対応力は確かに向上するのです。
さらに、ロールプレイングには、数多くのメリットがあります。
- 先輩のロープレを見よう見まねで、観察し、自分のために役立てることが出来る。つまり、情報収集も出来るということです。
- 自分自身が声に出すことで、自分のやり方に、「気づき」が得られることも多い。
- 新しい営業のやり方を、模擬的に試すことができます。
- 役を演じているという意識があるので、面と向かって断られたり、厳しい言葉を投げかけられたりしても、「役の上でのこと」と割り切って、自分自身を守ることもできます。
- 仮定のキャラを演じる事ができるので、「強い営業マン」や「気弱な営業マン」など、複数の性格を演じることで、自分のキャラに気づきはじめるというメリットだってあります。
そもそも ロールプレイング(ロープレ)とは?
ロールプレイングというのは、日本語では「役割演技」といいます。
その言葉の通り、ある役割を演じてみることで、実際に起こる様々な出来事への対処方法を学び、身につけようとするものです。
なかでも、「営業ロールプレイング」とは、見込み客との実際に起こりうる場面を想定して、
「営業マン役」と「見込み客役」という、ふたつの役を演じます。
そうすることによって、経験の浅い社員でも、具体的なノウハウを、自分で体験しつつ学ぶことができるからです。
営業ロールプレイングの進め方(おすすめ)
私は、これまで経営コンサルタントとして20年近く、顧問先での営業ロールプレイングを何回やったか、数え切れません。
その経験から、効果のある営業ロールプレイングの進め方には、共通のコツがあることがわかってきました。それを少しご紹介いたしましょう。
営業ロールプレイングは、「営業プロセス全体ではなく、部分だけ」をやる
営業という仕事は、最初から最後までの流れがあります。例えば、「見込み客の開拓から、初めて会う瞬間、要望把握、・・中略・・と、最終的には契約・申込み」という流れです。
一般的に、営業ロールプレイングは、日々の仕事のあいまに行われることが多く、最初から最後までのプロセス全体を「演ずる」ほどの、時間的な余裕がありません。
だからこそ、ロールプレイングは「どの部分」をやるか、というテーマを決めて行うのです。
小さな部分に焦点をあてることで、細かくロールプレイすることが出来ます。
営業ロールプレイングは、3人一組でやるのが良い
「営業マン役」「お客様役」「観察者役」という3人一組で行うのが良いです。
ここで、「観察者役」というのは、営業マンとお客様の様子をよく観察して覚えておき、あとから質問を投げかける役です。
例えば、「さっき、お客さん役のひとは腕組みをしたけれど、心のなかで何が起きたのですか?」とか、「あのタイミングで、あの言葉を発したのは、どのような意図があったからですか?」と、本人が何気なくやっていたことを拾い上げて質問します。
また、良かったところなどもフィードバックしてあげるのも良いでしょう。
お客様役の「役作り」も大切
お客様のなかには、『単なる情報収集中で、まだ買うかどうか、やるかどうか、なにも決まっておらず、情報を集めている段階の客』がいれば、『いよいよ、A社かB社か、どちらにするか決めるために、比較情報を集めて判断しようとしている段階の客』もいます。
お客様役は、その役作りをしっかりやっておかないと、ロールプレイングが単なる「作業」になってしまうために注意してください。
せっかくやるのなら、営業マン役のひとにとって役立つロールプレイにしたいところです。
一般的な、「営業のシナリオ」は、どんなものか?
世の中には、様々な営業シナリオがありますから、下記に記したものが正しいとは限りませんが、あくまで一般的な営業シナリオとして参考にして頂ければ幸いです。
下記のなかで、どのような【部分】を抜き出して営業ロープレをするかを決めるのに参考にしてください。
【一般的な営業シナリオ】
- 1.見込み客の発掘・出会い
どんな商材であっても、新規見込み客と出会う瞬間があります。『会社に届いた資料請求メールに書かれている電話番号に、電話をして接触をする瞬間』、『展示会で名刺交換をする瞬間』、『紹介された客先へアポの電話をする瞬間』などなど、初めて人的な接触を行う瞬間があります。
- 2.あいさつ&雑談
はじめて会ったら、挨拶や、雑談をします。
- 3.本日の目的についての会話
今日、どのような目的で面談をしてくれているのかを、しっかり確認をとります。
さらに、営業シナリオは次のように続いていきます。 - 4.ヒアリング・状況把握
- 5.提案・プレゼンテーション
- 6.クロージングもしくは、次回アポイント取得
「営業ロープレ」の2種類の方向性(注意!重要!)
ここで、営業ロープレのコツとして、『駄目なやり方を修正する』というのは非常に難易度が高いのでやめたほうが良いという事をつけくわえておきます。
営業ロールプレイングには、大きく2種類あります。
『売れていない営業マンの、駄目なやり方を修正しようとするロープレ』
『売れている営業マンの、良いやり方を真似しようとするロープレ』
私は、前者はおすすめしません。
駄目なやり方を修正しても、上達しないことの方が多いからです。
出来るだけ、ロールプレイングは後者を中心に行ってみるようにしてください。
ロールプレイングを終わったら、営業マン役、お客様役、観察者役は、それぞれ、質問したいことや、確認したいこと、そうした事を話し合います。
同時に、上司がチェックをしている場合は、上司からのコメントなども、このタイミングで行うと良いでしょう。
この様子を、ビデオに録画することが出来れば、さらに良くなります。
ビデオを録画しておくと、力量の高い営業マンの口調やしぐさを見て覚えることができるだけでなく、自分の表情やしぐさ、話し方をチェックすることにも役立つからです。
営業ロープレをもっと活用する
他業種でロープレしてみるコツ
自社が保険業界であれば、保険セールスのロープレだけでなく、たとえば住宅リフォーム業でロープレをやることも効果的です。
注文住宅営業や、不動産営業、住宅営業などの営業マンは、自動車販売や中古車販売などの営業マンを演じてみるのもいいでしょう。
住宅業界、注文住宅などは、専門用語も多いのですが、類似業界の営業マンになったつもりでロープレを行うと、専門知識で煙にまくことができない分、セールススキルそのものが問われるからです。
このとき、類似業界を選ぶことが大切です。
これは、あくまでも「類似」であればよく、まったく同じ業界でなくて構いません。
保険業なのに旅館業のロープレやっても効果が薄まってしまうからです。
まとめ
このコラムでは営業ロールプレイングの目的や、標準的な営業のシナリオ(流れ)、ロールプレイングの人数、進め方、フィードバックの仕方、注意点などを挙げました。
「営業」という仕事は、個人の業績として評価されることが多いために、どうしても営業のやり方は、属人的になりがちです。営業のやり方は、自分のなかだけに隠しておくのではなく、お互いがロールプレイングで公開しあいながら、「良いやり方を真似する」という学びにつなげてほしいと思います。
成績不振の営業マンや、経験の浅い営業マンが営業ノウハウを身につけ、強い営業マンになっていくのが早い会社は、それだけライバル他社よりも有利になります。
優秀な営業マンが、後輩営業マンを育てることのできるリーダーにもなることが出来たら、営業チーム、ひいては会社全体は間違いなく強くなっていきます。
そのために、ぜひ営業ロープレを日常業務の中に取り入れることをお勧めします。
株式会社マーケティング・トルネードの営業研修の紹介
(ロープレ・トレーニングを含む)
このコラムを執筆したのは、株式会社マーケティング・トルネードの代表取締役 佐藤です。
弊社では、こうしたコラムでの情報提供だけでなく、実際に企業に訪問しての営業研修なども行っています。
・現状の営業シナリオのチェック
・ひとまずの営業スキルの向上指導と、トレーニングの実施
・営業シナリオの改善アドバイス
・営業ツールの制作助言や事例紹介
営業トークの指導だけでなく、営業の仕組みづくり全般への助言なども必要に応じて行います。
もしご興味がおありであれば、下記URLに、「本当に効果のある社員研修とは」という、もう少し詳しいご案内ページを準備しておりますので、そちらも検討材料にして頂ければ幸いです。
https://www.marketingtornado.co.jp/support-menu/employee-training/
執筆者:株式会社マーケティング・トルネード 代表取締役 佐藤昌弘
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