BLOG/NEWS人の営業力と会社の集客力の革新コラム

トップ > 経営戦略 > アリジゴク先生のマーケティング基本レッスン 2限目

アリジゴク先生のマーケティング基本レッスン 2限目

◆授業開始:講師は「アリ地獄先生」

自然界では、生き抜いていくために「エサ」を捕食する生きものがいます。
これからアリ地獄先生の授業が始まります。

 

      ○              ○

 

 

ガラガラと教室の引き戸が開くと、全身毛むくじゃらの、なんとも汚い生き物が入ってきました。

それがアリ地獄先生です。

 

 

アリ地獄先生は、普段は地面の中にいるので、全身ほこりだらけ。

頭の先からしっぽの先まで土まみれです。

 

教室に入ってくるなり、アリ地獄先生は話し始めました。
「まず、最初にクイズです」

 

先生は教室にいる生徒たちを一人ひとり見回しました。

「さて、ご存知のように、私たちアリ地獄は、お寺の本堂の下とか、神社の社屋の下に、すり鉢のような『巣』を作ります。一度、巣を作ったら、じっと『エサ』が落ちてくるのを巣の中で待ちます。おいしそうな『アリ』が落ちてくるのを、1日でも、2日でも、3日でも、そこで待ち続けるのです。」

「そこでクイズです。せっかく巣を作ったのに、一週間たってもエサが落ちてこないとします。
お腹はぺコペコでもエサはない。」
「そんなとき、私たちアリ地獄はどうすると思いますか?」

「私たちアリ地獄は、いつまでたってもエサが落ちてこない時どうするでしょうか? 引っ越すでしょうか? それとも、待ち続けるでしょうか? 皆さん、答えは決まりましたか?」

 

 

間違いだらけの場所選び

アリ地獄先生の授業が始まりました。

 

さて、アリ地獄先生の授業で皆さんに知ってもらいたいことは、ひとつです。

それは「立地条件について」です。

 

一般的に、パン屋さんなどの売り上げは、半径500メートルの世帯数に比例すると言われています。
つまり、普通のパン屋さんであれば、半径500メートルの世帯数によって、出店の成功や失敗が決まってしまうのです。

 

アリ地獄先生の「巣」というのを、「お店」の立地に置き換えてみてほしいのです。
エサである「アリ」というのは、すなわち、「お客さま」のことです。

 

そもそもお客さんが数多くいる場所に立地しているでしょうか。

また、お客さんが入りやすい構造になっているでしょうか。

お客さんが入ったら、接客しやすい店内の構造になっているでしょうか。

 

アリ地獄先生の「巣」から学ぶことは数々あるのです。

 

 

会社や店舗や事務所を持って経営している方に聞いてみると、現在の「店」を選ぶとき、たいして検討していない方がいます。
それは驚くべき博打なのです。


残念なことに多くの会社が、次のような理由でお店を開く場所を決めています。
 ①長年住んでいた場所なので、お店を出した。
 ②とにかく物件が安かったので、お店を出した。
 ③知り合いに紹介されたので、お店を出した。
 ④この場所以外知らないので、お店を出した。
 ⑤仕事以外に便利な理由があるので、お店を出した。
これらの理由は、お店の立地条件としては、すべて博打だと言えます。

 

まず、絶対的に、お店を出す場所は、
ターゲットとなる「お客さま」が近くにいるかどうかで判断してほしいのです。

 

 

引っ越しは、死ぬ確率との比較!?

さて、アリ地獄先生の授業に戻ります。

 

アリ地獄先生は、うなづきながら言いました。
「私たちアリ地獄は、もし、アリが1か月以上落ちてこなければ、飢えて死ぬことが多いんです」
教室中がざわめきました。

 

そして、自分に言い聞かせるように黒板に書きました。
《引っ越しは、死ぬ気で、やれ》

 

 

■死を覚悟して出店場所を選んでいるか?

例えば、よく見かけるアリ地獄型のビジネスとして、

お医者さんの隣には調剤薬局があります。
観光寺院の門前には、お土産屋さんがあります。
コンサートの会場前では、グッズ販売が行われています。
動物園の中では、うどん屋さんがあります。

 

どれもこれも、集客の努力っていうのを、普段からやらなくていいように立地を決めているわけです。

 

立地条件さえ最適ならば、何もしなくてもお客さまが寄って来るということでもあるのです。
立地条件という強固なアイテムを手に入れた場合、アイデア次第でいくらでも売り上げをアップすることができるのです。

 

それくらい、立地というのは、「絶対的」「決定的」「必然的」な要素なのです。

 

①お店の出店候補地は必ず、複数の中から選びましょう

候補地と候補物件は、20、30と見る必要があります。数多く見ることによって、比較検討する目が養われ、不良物件をつかむことがなくなります。

②ターゲット客の動線を確認しましょう

もし、あなたがこれから初めてお店を出す場合、直感や感覚では決めないでください。ターゲットとなるお客さまが、店の近くにいるかどうか調べてください。土地代や家賃が高ければ好立地というものでもありません。
ターゲット客がいなければ高い家賃など無意味です。交通量が多ければ良いというものでもありません。ましてや立地が悪くても広告で集客すれば良いという考えは極めて危険です。

③他の人の意見にも耳を傾けましょう

 人間は主観的で、欠点だらけの生き物です。ものごとにのめり込むと周りが見えなくなってしまいます。しかし、第3者ならば冷静に判断することができます。他人の意見に耳を傾けてください。

④時間をかけて決めましょう

 即断即決は仕事上、長所といわれていますが、立地条件に関しては違います。
どんなマイナス要素が潜んでいるかわかりません。
それは、時間をかけて調べるからわかってくるのです。

⑤2つの調査情報も参考にしましょう

立地を選択するときには、少なくとも交通量をリサーチしておく必要もあります。
交通量調査といえば、あなたは、「交通量センサス」というのをご存知ですか?
あなたが出店しようとしている店の目の前の道路に、歩行者、自転車、自動車が、どれだけ通行しているのか、それを調査したマップが世の中には存在しています。
それこそが、「交通量センサス」です。
国土交通省が作っているデータなので、日本国民は誰でも無料で手に入れることができます。国交省のホームページで入手が可能です。

驚くべきは、無料で入手できる調査結果なのに、ほとんど誰もそんなものを見ないで出店しようとするということです。
「どうして交通量センサスを参考にしないんですか?」と聞くと、
「えっ? 何ですかそれ。知りませんでした……」という答えが返ってくることがほとんどなのです。
 もしも、アリ地獄の世界に、そんな「アリの交通量センサス」があるなら、彼らはどうするでしょうか? きっと、どのアリ地獄も、のどから手が出るくらい欲しがるでしょう。
 では、アリ地獄は、「ミミズの交通量センサス」も欲しがるでしょうか? そんなはずがありません。アリ地獄はミミズは食べないからです。
つまり、全体的な交通量データがわかっても、あなたが狙うターゲット客がどれだけ通行しているのかデータがなければ意味がないのです。
もしあなたのお店がスーパーマーケットなら、主婦の交通量がわからないといけません。
結局、出店をすべきかどうかの判断基準として、交通量センサスだけでは確実性に欠けるのです。

ところが、客層を把握するデータもあります。
それは、同じく国土交通省の「パーソントリップ調査」といいます。
実は、そんな便利な調査報告書もあるのです。その存在を誰も知らないんです。
国土交通省のホームページには、次のように書いてあります。
「パーソントリップ調査は、交通の主体である【人(パーソン)の動き(トリップ)】を把握することを目的としており、調査内容は、どのような人が、どこからどこへ、どのような目的・交通手段で、どの時間帯に動いたかについて、調査日1日の全ての動きを調べるものである」と。
 もちろん、日本中のあらゆる路地裏まで調べているわけではありませんし、子育て中の母親なのか、共働きの主婦なのか、その区別もデータからはわかりません。
 しかし、お店の近くのメイン道路の交通量を知っておくことが、あなたのお店の開店に不利に働くことは絶対にありません。
それがわかっただけでも、お店を出すかどうかの判断にずいぶんと役立つはずなのです。

 

 

 

次の記事では、ターゲット選びについて続きます。

 

一覧に戻る

お問い合わせはこちら