【著者公式】凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク(まとめ)
2018年11月01日
株式会社マーケティング・トルネードの佐藤です。
私が書いた、『凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク』が、
40回の増刷を重ねて、ついに13万部を超えたと出版社さんからご連絡をいただきました。
読者の皆さんがお買い求め頂いたおかげですし、書店様や、出版社さんが、頑張って売って下さっているおかげです。
本当にありがたいことで、嬉しいです。
ぜひ、多くの方々に読んでいただきたく、200ページ以上の本を、ものすごく乱暴ですが、100分の1にまとめてみました。
もし面白いと感じたら、ぜひ、拙著をお買い求め頂けましたら幸いです。
目次
◆お客さんの本当の欲求を理解し、最適の商品を提案すること
セールスが上手になりたいと思うのなら、お客さんの本当の欲求を理解する必要があります。
この「本当の欲求」という部分が重要です。
決して、「表面的な欲求」ではありません。
今回は、そうした観点からセールストークのスキルを解説したいと思います。
たとえば、あるお客さんは、新築にアイランドキッチンを採用したいと言っているとします。
「家のなかを子供が走り回って欲しいんですよ。元気にね。それで、ずっと、いろんなショールームとか、住宅展示場とかで見た、アイランドキッチンなんかが良いなぁって思っていたんですよ。」というのがお客さんのキッチンへの期待でした。
もしそうならば、本当にアイランドキッチンを提案すべきなのでしょうか?
キッチンの周りを子供が走り回るようなレイアウトにするのは、安全性や、作業性のことを考慮したうえで、本当に妥当なのでしょうか?
キッチンの周りではなく、キッチンからよく見える場所を元気に遊ぶ子供が見えるのが、本当に欲しいイメージではないのでしょうか?
「家のなかを走り回ってほしい。元気な姿を見ていたい」
もしそうならば、キッチンの周りを走り回るのとは違う方法でも、それは実現することができるかも知れません。
だからこそ、できる営業マンは、お客様がどんな期待を持っているのか、必ず丁寧に質問します。
そして、本当の期待内容を理解しようとして、きっとこう話を展開すると思うのです。
A「お子さんが元気に走り回るっていうのは、もう少し具体的に言うと、どんなイメージなんですか?」
B「今の家が狭くって、いつも子供に静かにしなさいって怒ってばかりだったんです。だから、広い家になったら、走ってもいいかなぁって思ってるんです」
A「なるほど。元気な姿を見ていたいですもんねぇ」
B「そうなんです。子供が嬉しそうなのを見てると、私も嬉しくなってきます」
A「それでは、こうしたらどうでしょう?こちらのパントリーを移設して、この部分の壁を抜けば、そうすればアイランドキッチンにしなくても、お子さんは家のなかを走り回ることが出来ますよね。やはりキッチン周りを子供が走るのは危険ですし、これで浮いた予算で、すべり台を作ることも出来ますよ」
B「へえ、そうなんですか?」
A「はい。階段にすべり台を作ることが出来ます。重い荷物なんかは、2階から下ろすときに持ちあげなくても、滑らせて下ろせますし、便利ですよ」
B「なるほど。そういうお金の使い方もいいですよね。ありがとうございます」
◆お客さんが「ほしい」という言葉をうのみにする営業マンは、信用されない
お客さんはアイランドキッチンが欲しいと言っていたわけですが、本当にほしかったのは、実は「自分のまわりで元気そうにしている子供の姿」だったのです。
つまり、このお客さんは自分のほしいものが何なのか、本当はわかっていなかったとも言えるわけです。
それを「アイランドキッチンが欲しいって言ってるんだから、アイランドキッチンの見積もりをすればいいんだ」とやってしまったら、お客さんは、本当に満足してくれるんでしょうか?
せっかく家を建てるのだから、自分の本当の欲求を汲み取ってくれて、「そうそう!本当は、こういうのがほしかったんだ!」と心から満足できる提案をしてもらいたいと思っているはずなのです。
そういう営業マンになるためには、お客さんの本当の欲求をきちんと聞いて理解し、アイランドキッチンではなくて、子供が走り回ることが出来る間取りの工夫を提案できるようにならないといけないのです。
つまり、正しいセールスの手順は、
1.あなたが本当に望んでいることは何ですか?
2.それにぴったりの提案はこれですね。
でなければならないのです。
これは、住宅営業マンに限った話ではありません。
◆お客さんの本当の欲求に応える『魔法のセールストーク』の手順
お客さんが本当に望むものを提供するには心の裏側の真の欲求を知る必要があります。それには正しい質問と手順があります。私はこれを、4つのステップからなる「魔法のセールストーク」と呼んでいます。
ステップ1.ファースト・マジック・クエスチョン
最初の質問は、実に簡単、シンプルです。
「今回○○ということですが、いまの××に何かご不満でもおありになるんですか?」
○○と××を穴埋めして、そのまま使って下さい。たとえば、こんな具合です。
「今回、現場見学会へご来場いただいているのですが、いまのお住まいで、何かお困りのことや、ご不満でもおありなのですか?」
これだけでいいんです。たったこれだけの質問で、ほんとうに興味のあるお客さんは、
「いやぁ、実は、不満ってわけじゃないんですけどね。子供が2人目が生まれるんで、そろそろ家建てることになるのかなぁって思ってですね」
と本音を語り始めるようになります。
ここで「いや、別に……」と暖昧な返事をするお客さんは、警戒度の高い状態か、もしくは、冷やかしの可能性が高いのです。
だから、過度に追いかけても意味がありません。むしろ、「はい。わかりました。どんなご要望ですか?」とか、「どうぞご自由にご覧ください」と、逃がしてあげましょう。お客さんは自由に逃がしてくれるところに必ず帰ってきます。
ステップ2.マインド・キー・クエスチョン
お客さんの欲求の一端がわかったら、次にそれをより深く聞き出します。具体的には、
1「たとえば?」「もう少し具体的に教えていただけますか?」「具体的には?」
2「XXXだと、何か××すぎるのですか」
の2つの質問をします。
1では話を具体化するために「たとえば?」と踏み込むようにするフレーズです。
また2ではあえて極端な条件を出しながら欲求の理由、根拠を聞き出すことが出来るフレーズです。
ここで注意したいのは尋問調にならないこと。
「お客さんの希望をちゃんと理解したい、わかってあげたい」という気持ちがきちんと伝わるような話し方や態度を心がけましょう。先ほどの例で言うならば、実際の質問はこんなふうに行います。
「いやぁ、実は、不満ってわけじゃないんですけどね。子供が2人目が生まれるんで、そろそろ家建てることになるのかなぁって思ってですね」
「そうなんですか。おめでとうございます。上のお子さんは御いくつなんですか?」
「上は4歳なんですよ。手ぜまになってくるから」
「なるほど、狭いというと、具体的に言うと、いまはどれぐらいの広さにお住まいなんですか?」
「あぁ、まぁ。えぇ」
「すいません。今回の現場見学会には見どころがたくさんあるものですから、お客さまへが参考にして頂けそうなポイントを探そうとすると、どんな家づくりへの期待をお持ちなのかを聞かせて頂けたら参考になると思ったものですから・・・」
「なるほど。けど今すぐじゃないんで…」
「そうですね。情報収集中ということですね。」
「ええ。家なんて簡単には建てられないから…」
「もちろんです。家づくりは数年後だと遅すぎますか?今年中だとはやすぎるんでしょうか?」
「あぁ、そうですねぇ。上の子が小学校に上がる前には、と思ってるんですけどね」・・・と、ざっとこんな感じでしょうか。
より詳しくヒアリングを深めるときにはメモが必要になることもあります。
「ファースト・マジック・クエスチョン」と「マインド・キー・クエスチョン」を使いながら、お客さんの本当の欲求を明らかにしていくのです。
そうしたら「魔法のセールストーク 4つのステップ」もいよいよ後半です。
あとはその欲求を整理し、お客さんにぴったりの提案をしていくプロセスへと移ります。
ステップ3.お客さんの欲求の整理と確認
マインド・キー・クエスチョンの際にメモした内容を見ながら、お客さんの欲求を整理し、相手に確認してもらいます。具体的には、
① 要望に過不足がないか確認する
②その都度、「確かですね」「本当ですね」「これで全部ですね」と必ず念押しする
の2つの確認作業を行います。
この作業は、お互いの理解を共有する意味でとても重要です。
「お客さんの希望は十分わかった」「こちらの要望はお店の人にきちんと伝わった」、お互いにそう確認することで、売り手の自信と買い手の安心感が得られるのです。
もしこの段階で、新たな要望が見つかった場合は、ステップ2のマインド・キー・クエスチョンヘ戻って、再度ヒアリングを行います。その上でまたステップ3へ進み、先の1・2の確認作業をします。
そして最後に、「ご希望のなかで、妥協できるところがあるとすれば、どこですか?」と聞いておくようにします。
お客さんの求めていることが、予算の範囲内でできるとは限らないからです。
そこで最優先事項をあげてもらい、妥協点を探ることになります。予算と希望と現実のすり合せをするわけです。
ステップ4.最適な商品・サービスの提供
お客さんの欲求に最適の提案を行い、クロージング(契約)へと進みます。
ここまでくれば相手の欲求はすべてわかっていますし、どこまで妥協できるかも確認できています。それに沿う形で、最終的にはこちらの考えるお客さんの欲求にぴったりの商品・サービスを提案し、契約してもらえばいいのです。クロージングの基本ステップは次の通りです。
1お客さんの要望、条件を確認する
2要望、条件に変更はないか確認する
3契約の意思を確認する
4前向きな返事があれば正式な提案書や見積書を出す
大事なことは、「お客さんの本当の希望を理解したい、心から望んでいるものを提供してあげたい」という気持ちです。
セールストークをこれだけ少ない文字数で、すべて解説するのは、なかなか難しいことですが、部分的にでも参考にして頂けたら幸いです。
執筆者:株式会社マーケティング・トルネード
代表取締役 佐藤昌弘