SFAツール(営業支援システム)とは?導入メリットや運用成功のポイント

顧客の情報を入力し、営業プロセスの進捗管理をしたり、それらの情報を共有することで、営業活動の成果向上や、効率アップに貢献するシステムが「SFAツール」です。

 

弊社クライアント様でも導入している企業は少なくありません。

導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。

 

よくあるのは、「SFAを導入したけど、日報入力と、顧客データの入力にしか使ってない・・・こんなことなら表計算ソフトでも出来る」という失敗です。

 

そうならないために、SFAをしっかり理解することが大事です。

本記事では、SFAツールの特徴や導入メリットのほか、運用を成功するためのポイントについて詳しく解説します。

 

【執筆者プロフィール】

佐藤 昌弘(さとう まさひろ)
株式会社マーケティング・トルネード代表取締役。
1968年生まれ。愛知県出身。京都大学工学部卒業。

地元大手都市ガス会社を退職後、住宅リフォーム会社を創業し、2001年まで3年半経営した後、年商3億円超で売却。
2002年、株式会社マーケティング・トルネード設立。
個人事業主様から年商3兆円超の上場企業まで、研修やコンサルティングを提供。

 

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SFAツール(営業支援システム)とは?

はじめに、SFAツールの特徴や、CRMMAとの違いについて解説します。

 

SFAツールの特徴と目的

そもそもSFAとは「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略で、日本のビジネスシーンでは「営業支援システム」や「営業管理システム」とか呼ばれています。

 

その基本的な目的は、

  • 顧客情報の管理
  • 案件の管理
  • 進捗状況・営業スケジュールの管理
  • 営業成果レポートの作成と出力

 

SFAの基本的な目的は、上記の項目です。

そうした情報を、まずはデータ化し、共有します。

これらの情報を、営業マネージャーがチェックすることで、ベストタイミングで、適切な指示なども出来るようになるのです。

同じことは、表計算ソフトでも出来るのに、どうしてSFAが必要なのか?

表計算ソフトで管理することも可能です。しかし、一般的な表計算ソフトでは、誰かが編集をしている時に、別の誰かが上書き保存が出来ません。

また、行数や列数が増えていくと、閲覧しやすさが失われていきます。

 

ある程度の顧客量、情報量になっていくと、表計算では対応しきれなくなっていくのです。

そうした状況になっていなければ、まだ表計算ソフトで管理していても良いかも知れません。

 

SFA・CRMMAの違い

よく、業務支援ツールとして注目されるものに、「SFA」「CRM」「MA」の3つがあります。

この違いについても、よく理解しておく必要があります。

 

CRMは「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の略で、「顧客関係管理システム」と呼ばれています。

この目的は、次のとおりです。

  • 顧客情報の管理
  • 購買履歴の分析
    購入頻度、好み、ニーズ、価格帯などの分析
  • マーケティング施策の実施
    最適なタイミングで、好みの提案を、購買履歴に基づいた売り方で企画する
  • 顧客満足度の向上
    信頼関係や、ファン化が進み、リピーターが増える

 

MAは「Marketing Automation(マーケティング・オートメーション)」の略で、一口に言えばマーケティング活動を自動化して効率化するシステムです。

◆メール配信

◆ランディングページ作成

◆見込み客(リード)の育成

複数通のメール配信を自動的に配信し、顧客への情報提供を続けて、商談機会を増やしていくシステムがあったりします。

 

こうした内容を、しっかり理解しておかないと、余計な機能まで購入してしまうことになってしまいます。

必要なものだけ、順番に導入していけば良い、そう考えたほうが良いと思います。

 

SFAツールを導入するメリット

次に、SFAツールを導入する主なメリットをご紹介します。

 

営業活動の属人化が解消できる

SFAツールを活用すると、業務の属人化を解消できるのは大きなメリットです。

一人ひとりの営業担当者が、それぞれ各々で、顧客情報を管理していると、その営業担当者以外は案件に対応できないという課題が発生します。

例えば、「すみません。営業のAさんいますか? え、留守ですか。当社に納品してくれる商品って、納期わかりますか?え、Aさんしかわからない?うーん、困ったなぁ」

このような課題は、SFAをうまく活用すれば無くなります。

 

SFAを使って、顧客情報・案件内容・進捗管理をすることで、情報は共有され、営業活動の属人化が解消され、組織として柔軟な対応が可能となるのです。

また、営業プロセスや顧客とのやり取りなど、各案件の情報が可視化されるというのもポイントです。

手軽にフィードバックができるため、個人の経験や勘だけに頼らない、データに基づいた成功率の高いアプローチを見出せるようになり、さらに、効果的な営業ノウハウが共有されることで、組織全体の営業力向上にもつなげられます。

 

業務効率化

SFAツールを導入する、次のメリットは、営業活動の効率化です。

昔の営業担当者さんは、外回りから戻れば日報の記入、見積書の作成など、雑務に追われて定時を過ぎるのは珍しくありませんでした。

しかし、SFAを導入すると定型業務を自動化してくれるものもあります。

見積もりの作成までシステムに組み込まれたものもあります。

うまくやれば、営業担当者の負担は大幅に軽減し、顧客へのアプローチや商談などのコア業務に時間や労力を使えるようになります。

より戦略的な営業への活用

もうひとつSFAツールのメリットが、営業活動への戦略的な情報入手です。

過去データをうまく分析すれば、

「顧客ターゲット分析」

「競合企業への優位性」

「売れた決め手となる要素」

「顧客からの要望に応えられなかった機会損失の情報」

などが入手できます。

これらの情報は、散らばって活動している営業担当者から、情報が一箇所に集められることで明確化されていく情報です。

このように、SFAツールに蓄積されたデータというのは、うまくやれば、営業戦略に役立つ情報が得られるのです。

 

SFAツールの基本機能

続いて、一般的な、SFAツールに備えられている基本的な機能についてご紹介します。

 

顧客管理

顧客管理では、顧客の氏名や企業名、住所、電話番号、所属部署、役職などの基本情報が登録できます。

そのほか、顧客ごとに、過去の商談履歴や問い合わせ履歴などを一括して登録できます。

(こうした商談履歴や問合せ履歴の登録管理のことを、販売管理と言ったりもします)

顧客情報を共有化できるため、担当者以外が瞬時に情報を引き出して対応できるというメリットがあるだけでなく、セールスの重複や引き継ぎミスの防止にもつながります。

名刺管理ツールなどと連携できる機能があれば、情報登録も手間なく可能です。

 

営業の案件管理

案件管理とは、営業案件の内容や、進捗状況や、こまかな議事録などを登録しておく機能です。

営業担当者や顧客担当者、過去の商談履歴、見積もり、営業活動の進捗状況や売上見込み金額などの情報について案件ごとに確認できます。

そうした情報が共有されているため、進捗状況が滞っている案件について、営業マネージャーなどの上司やリーダーが助言もできます。

また、眼の前の営業案件で行き詰まりを感じている営業担当は、他の順調に進んでいる案件の進め方を参考にすることも可能になります。

 

営業活動上の数値管理

営業活動上の数値管理とは、営業担当者の行動やその結果を記録し可視化する機能です。

訪問回数や電話回数、提案回数、見積もり提出数、商談件数、アポイント取得率、成約率など営業担当者が関わった活動をすべて数値化して管理することが出来ます。

 

各担当者を定量的に比較できるメリットは大きいものがあります。

例えば、成績が上がらない営業担当者Aさんがいるとします。

Aさんは、どこを頑張るべきなのか?

訪問件数を増やすべきなのか?それとも、見積もり提出時の説明を工夫すべきなのか?

その判断をするために、こうした数値を計測しておき、営業担当者全員の平均値や中央値をだして活用していくことが出来ます。

 

そうやって、効果的な営業方法やボトルネックが明らかになるほか、人事評価の基準としても大いに役立ちます。

誰がどれだけ成績を伸ばしているかが一目瞭然になるからです。

 

売上予測・予実管理

売上予測・予実管理では、営業担当者別、部門別、顧客別、支店別、商品・サービス別など、あらゆる角度からみた売上予測と実績を可視化します。

リアルタイムで予測と実績の比較などができ、営業担当者は常に売上や成績を意識することで、目標意識を持って営業活動に注力できます。

管理者側としても、各担当者の進捗状況や目標達成率を把握できるため、未達成の原因追求、営業戦略の練り直しに非常に有効です。

 

分析レポート作成

SFAツールの中には、蓄積されたデータをもとに営業活動や顧客の行動などをAIで分析し、集計レポートを自動作成してくれる機能がついているものもあります。

例えば、「今月の契約高トップの営業担当者は誰か?1位から10位までを一覧にする」のと同時に、「今月の成約率トップは誰か?1位から10位までを一覧にする」という仕事があり、その後、「先月は、それぞれどうだったか?」と見たくなったとしても、システムであれば、瞬時にレポートを作成できたりします。

作成したレポートは、営業活動に反映させたり、会議資料にしたりと多くのシーンで役立てることも可能です。

 

SFAツールの選び方

ここからは、SFAツールを選ぶポイントをご紹介します。

 

自社の使い方に合っているか

SFAツールを選ぶ際に最も重視したいのが、自社が求める機能が揃っているかということです。

たとえば、営業担当者が出張が多い会社なら、出張先から入力をしたいはずです。

それならば、モバイルデバイスで使いやすいツール、営業施策の策定にデータを使いたいなら売上予測や予実管理機能に強いツール、といったようにそれぞれの特徴を、よく理解して、比較をすべきです。

また、すでに別のツールを社内で利用している場合は、可能であれば、それらと連携できるツールを選ぶことも大事です。

比較検討する際に困らないよう、事前に自社が優先したい機能を整理しておきましょう。

 

使いやすい設計であるか

操作が直感的にわかりやすいかどうか、これが非常に重要です。

営業担当者も人間ですから、入力するのが面倒だったり、画面が理解しにくかったりすると、どうしても入力や活用から遠ざかってしまいがちです。ツールの使いやすさは導入後の定着を左右する重要な要素です。

SFAツールは営業活動の効率化を目指して導入するものであるため、使いやすいことが大前提です。

そもそもSFAツールは、各営業担当者が、積極的にデータを入力することで初めて効果を発揮するものです。

画面が読みにくい、操作や入力が難しい、入力項目がわかりにくい、など使いにくいツールは避けましょう。

 

サポートを受けられるか

いざSFAツールを導入するとなると、情報の誤入力などのトラブルが発生することも少なくありません。そうした際のサポートが充実しているかどうかも注目したいポイントです。

どのようなサポートが受けられるのか、導入後だけでなく導入前や運用においてアドバイスが得られるかなど、内容や範囲についても事前に確認しておきましょう。

中には、24時間365日対応のサービスや専任担当者がフルサポートを行うサービスもありますが、有償となるケースがほとんどです。

とはいえ、導入後トラブルが続いてしまっては、定着どころか運用自体も失敗に終わってしまう可能性があるため、とくに初めてSFAツールを導入する企業はサポート体制を重視しましょう。

 

SFAツール運用を成功させるポイント

最後に、SFAツールの導入、運用を成功に導くためのポイントや注意点をご紹介します。

 

自社の課題・導入目的を明確にする

SFAツールをうまく運用するためには、まずは「何のためにシステムを導入するのか」ということを社内で共有することが大切です。

当然、社内にはSFAを導入するに至った課題や目的があるはずですが、それを社員に共有しないまま「システムを導入したから使うように」と指示をしても、十分に活用されるはずがありません。

あらかじめ現状の課題を洗い出し、「この問題を解消するためにシステムを導入した」という意識を全員が持った上で、日々の運用結果を評価、改善につなげる仕組みを整えましょう。

  • 適切な営業指示をするために、進捗状況を可視化したい
  • 訪問回数、アポ率、見積もり提出率、成約率、成約単価、利益率と、数字を出すことで営業パフォーマンスを見える化し、「うまく行っている部分」を抽出してノウハウ化したい。
  • 顧客から問合せがあった時に、担当営業以外でも、対応ができるように情報共有をしたい。

など、できるだけ明確な目的をリスト化しておくのが大事です。

そうしないと、どうしてもツールを使うこと自体が目的になりがちで、ツールを使いこなすことが目的となってしまうような「手段の目的化」が起きてしまうのです。

 

現場の従業員へ十分な説明をする

SFAツールは、営業チームに十分な説明を行い、同意を得た上で導入するのが基本です。

SFAツールに限らずITツールを導入すると、それまでの業務フローが大きく変更されるため、定着するまで現場担当者に負担がかかります。

もちろん長期的に考えれば業務効率化や利益向上につながるシステムではありますが、現場担当者からは「今でも十分回せている」「ただでさえ営業で忙しいのに、その上、新しい仕事が増える」など、反発が起きる可能性もあります。

そうした事態を防ぐためにも、導入決定前には営業担当者を集め、ツールの重要性やメリット、導入により増える業務についてわかりやすく伝えたり、現場のアイデアや意見をヒアリングしたりするなどの工夫をしましょう。

営業チームの中に、「SFA導入プロジェクトチーム」を作って、そのチームと共にSFAを選んでいった会社もあります。

 

導入後も継続してフォローを行う

SFAツールを定着させるためには、導入後も継続して現場担当者をフォローする体制が必要です。

当然のことながら、いくらシンプルで操作性が高いSFAツールを選んでも、現場担当者がすぐに使いこなせるわけではありません。

事前研修などで操作方法をレクチャーし、すべての現場担当者が使いこなし、さらには使い続けられるよう丁寧にサポートできる仕組みを作ることがポイントです。

とくにツールに対する現場の苦手意識が芽生えやすいとされる導入後1ヶ月間は、集中的にフォローを行うといいでしょう。

また、活用が定着するまでの半年間は、フォローも継続していくと良いでしょう。

 

PDCAサイクルを回し改善と定着を図る

SFAの導入にあわせてPDCAサイクルを回し、運用方法を改善しながら定着させるのがおすすめです。

PDCAとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字を取った略語で、プロセスを循環させることで業務改善や業績向上を目指すマネジメント手法です。

Plan」でスモールステップを設定することから始め、現場の課題やニーズに柔軟に対応しながら、徐々に機能を追加していくことでスムーズな運用が可能となります。

導入後は3ヶ月目、6ヶ月目を目安に運用による効果を測定し、その後も定期的に検証と改善を重ねていくことでより効果が実感できるはずです。

 

SFAツールを導入するなら、「勝てる営業プロセス」を構築しておくことが重要

SFAツールは、営業活動を管理するものです。

しかし、そもそも営業プロセスが間違っていると、管理していても、業績は上がりません。

 

例えば、パンの製造プロセスを管理するシステムがあるとしましょう。

それは、「パンをこねる」→「発酵1時間」→「パンを焼く」こうしたプロセスが正しく行われているかどうかを管理するのには最適です。

 

しかし、発酵が1時間ではなく、発酵は2時間が正しいとしたら?

発酵するときの湿度が重要だとしたら?

システムで管理をする前に、正しいプロセスへと、見直す必要があるのです。

 

私は、営業コンサルタントであり、そこが専門です。

 

こんな事例がありました。

それは、産業機械を扱う商社さんです。彼らは、展示会セールスを実施していました。

その企業はSFAを導入していましたが、そもそも、展示会セールスのプロセスが間違っていたのです。

彼らは当時、「展示会で得られた見込み客に、電話をしてフォロー営業をしていく」それがプロセスだと理解していましたが、それは間違いであり、正しいアプローチ方法へと修正してもらいました。それ以降は、SFAで管理を継続しています。

 

勝てる営業プロセスを構築することは可能です。

まずは、その部分も重要ですから、それも参考にしつつ、SFAを活用してください。

 

 

[執筆者] 株式会社マーケティング・トルネード 代表取締役 佐藤昌弘

 

 

 

 

 

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