講演・セミナー講師という仕事の進め方コツまとめ(講師歴20年の個人的な意見・見解・まとめ)

私のクライアントさんが講演講師を頼まれたらしい。

「講演の先生を頼まれまして・・・。金額いくらって言えば良いですかね?なにを話せば良いんでしょうか?どうやって考えれば良いんですか?

声がひきつっているのが、なんか面白かったです。

 

その気持ち、痛いほど、わかります!

 

講演講師って、「緊張」と「不安」の混ぜごはん、みたいなものだと思います。
私は、セミナー講師・講演講師というお仕事は、軽く1000回はやってきましたが、今でも、講師控室とかでは吐きそうなぐらい緊張します。

 

控室といえば、これがまた豪華なホテルとかで講演をする時なんて、控室まで豪華だったりするんです。

そんな時は、その豪華さがさらにプレッシャーを増して、手汗もでるし、時々背筋がぞくっとしたり、耳がキーンってなってきたり・・・。

こういう講演前というのは、緊張と不安の混ぜごはんの食べ過ぎなんですかね、もう吐きそうになるわけです。

吐いたのを喉でなんとか止めて飲み込んだことも2度や3度、4度、5度じゃありません。

汚い話ですみません。

 

そういう事情もあって、このクライアントさんからの相談に対しては、激しく共感しました。

このクライアントさんのために、人前で講演講師をするときのコツみたいな話をまとめてみたいと思います。

 

どうせまとめるなら、他の人にも参考にしてもらえるように、記事っぽく・・・。

それが、この記事です。

 

 

 

 

◆講師の最初のスタートは、問合せから

最初は問合せから始まることが多いです。
だいたいは、メールか、電話が直接かかってきます。

 

※「いやいや待ってても問合せなんて来ないよ、そういう講演講師の売り込み方が知りたい」という方もいると思いますが、それはまた別のブログ記事で。

 

電話なら、簡単なご挨拶をさせてい頂いたあと、講演依頼の打診であることが相手から伝えられ、
そこからおもむろに「ずばり講師料金なのですが、金額はいくらですか?」とか、「最初にご確認頂きたいんですが、講演の日程が決まっておりまして、◎月◎日はご都合いかがでしょうか?」とか、ズバッと質問されることも少なくありません。

 

そりゃそうです。こういう質問は歓迎です。

だって、講演の主催企業の担当者さんは忙しいんです。
その忙しいなか、講師の候補者をリストアップして、メールや電話で交渉しまくっていかないといけません。
だから、電話で、さんざん会話が盛り上がった後で、講師候補の相手から

「あー、その日は先約があって、すみません・・・」

なんて展開になったら、私ならテンション真っ逆さまダダ落ちです。

 

だから、そもそもスケジュール的に無理だったり、予算的にまったく合わないとかいう場合、それ以上の会話をしていても無駄になる確率が高いわけだから、最初から単刀直入に聞くのが正しいと思うのです。

 

私は、講師を打診されている立場として、こういう時、可能な限りスケジュール調整するように協力していますが、駄目なときはスパッと正直に都合が合わないことを伝えています。

 

ただ、予算については出来るだけ相手に合わせられるように工夫をしています。

(15年前とかは、講師料すごく高く設定してました・・・いや申し訳ない)

 

もちろん講演講師のギャラで儲かるのに越したことはありません。
しかし、3ヶ月後の売上よりも、講演講師がきっかけで拡がっていく3年後のチャンス・機会の方がメリットが大きいのです。

 

つまり、「数年後に元が取れてしまうような提案」を、私が主催者側に出来るのであれば、講師費用は安くても構わないということになります。
わたしは、この提案を、いくつも準備しておくことにしています。

「将来的に、こんな事につながるのなら、安くても構わないなー」

と思えるような提案リストを、いくつも準備しておくわけです。

 

 

講演を依頼発注する側からすれば、過去の予算と同等、つまり他の講師に発注してきた実績と同等の金額で発注できるのなら、講師を依頼しやすいとも思います。
だから、出来るだけそれに合わせられるように、講師からの条件提案はいろんなバリエーションを事前に考えておく必要があるわけです。

 

こうして問合せからスタートするのが講師のお仕事というわけなんですが、
だんだん調子にのってきたので、講演講師・セミナー講師のお仕事について、もっと詳しくお話しようと思います。

 

 

そうなると、まずは、講師の仕事がどのように進んでいくのか?

その全体像、仕事の流れを全体的にざっと見るのがわかりやすいはずです。

 

この記事では、

◆講師という仕事が進んでいく全体の流れ=プロセスを全体的に紹介
◆上記の各プロセスパーツごとに、心がけている事を、私なりに詳しく説明

こんな感じで進めていきましょう。

 

◆講演講師という仕事が進んでいく全体の流れ

講演講師というお仕事を、しっかりやるって大事なことだと思います。

だって、講演っていうのは期待している聴講者がいるってことです。

聴講者さんは、貴重な時間を割いて参加してくれています。

当たり前ですが、「参加して良かった!」となるよう期待をしてくれています。

主催者さんも「この人に講師頼んで良かった」と言えるような期待をしてくださってます。

その期待に応えるのが、講師の仕事です。

 

言うのは簡単ですが、やるのは簡単じゃありません。

誰かの期待に応えるって、簡単なことじゃないんです。

だからこそ、たくさん気をつけるポイントがあるのです。

 

まずは、全体の流れをざっと書き出してみます。

それぞれの中身については、詳しく後述します。

 

1.提案前の打合せ(主催者さんへヒアリング)

2.講演プログラムづくりと提案

3.講演資料づくり

4.講演の当日(講演スタートまで)

5.講演の当日(いよいよ講演スタート)

6.終わりとアンケート(評価から学ぶ)

 

これは、あくまでも私の考えでまとめたものです。

 

じゃ、早速行きましょう。

 

1.提案前の打合せ(主催者さんへヒアリング)

早速ですが、このプロセスは、ものすごい重要です。

今、雨が降りはじめて洗濯物を取り入れなくちゃいけなくても、こっちを優先して読んで欲しい。

それぐらい重要です。

だから、気合い入れてお話します。

 

例えば、こんなケースの時、あなたならどうしますか?

ある営業マンがいます。
大事な顧客(取引先)のA社長との会食のセッティングをまかされました。

 

以前から、A社長に、「知人のB社長をご紹介して頂けませんか?」と頼んでいたのが実現するからです。

すると、A社長から連絡があり、

「B社長、是非に!って。来てくれるってさ。どこか店の予約お願いしますねー」

さあ、あなたなら、どんな店を予約しますか?

 

この営業マン、A社長とB社長を、【いか料理専門店】へと連れて行ったんです。

「えっ、冒険したなぁ、なんでイカ?」って思いますけど、
もちろん店のメニューにはイカしか無いんです。
足10本のあれです。

 

この店のチョイスのとがり方、なかなかの博打だと思います。

 

だって万が一、B社長が通風だったりしたら、どうします? B社長がイカや海産物全般が苦手だったら?

そりゃないわーって話です。

 

これ、実話なんです。

 

普通なら、A社長に対して、

「B社長の食の好みってなんです?」

「B社長は、いつもはどんなお店行かれるんですか?」

「年齢は?ご結婚は?ご出身地は?常連のお店とかは?お酒は?」とか、
できる限り、根掘り葉掘りヒアリングしても良いぐらいだと思います。

 

聴講者さんに向けた講演だって、これに似ています。

 

講演の聴講者さんが、「どんな人なのか?仕事は?役職は?」そうした事をしっかり理解しておかないと、ちゃんと満足してもらえる講演を計画するのは難しいと思うんです。

 

 

そこで、私が毎回、主催者さんにヒアリングする項目はいろいろあります。
いくつか紹介します。

 

  •  どんな方々、誰が参加するのか?
    性別、年齢層、仕事内容、役職など
  •  どういう文脈で受けるのか?
    誰かに言われて参加?自分の意志で参加?
  •  参加者はなにを期待・困ってるのか?
    どんな課題を解決したがっている?普段は何に困っている?
  •  上司による参加指示の場合、参加者の上司は、なにを期待・困ってるのか?
  •  参加者さんのビジネスレベルは、どんなレベルか?
  •  講演に表の狙いと、裏の狙いがあるか?
    例えば、メーカー主催の代理店募集セミナーの講師であれば、
    表の狙い=営業力強化セミナー
    裏の狙い=代理店になるメリット訴求
    あまり露骨にやると逆効果ですが、ちゃんと効果的にやる方法はあります。
  •  時間は?60分?2泊3日?
    これも大事で、講演が60分講演なのか、90分なのか、120分なのか、2.5時間なのか、午後半日講座なのか、終日講座なのか、2泊3日なのか、それぞれ目的も狙いも違います。
    90分講演は出来るけど、2泊3日となると対応出来ない、それじゃ主催者さんは困ります。
    時間対応だけでなく、様々なバリエーションで、「わかった」をゴールにする講座、「出来るようになった」をゴールにする講座、様々な要望に応えられるように、工夫をしていく。
    そうすることで、「今回は60分ですか?120分ですか?」とヒアリングできるようになります。

 

いつも決まった演題を話している講師業の方なら、あまり必要ないのかも知れません。

しかし、わたしのように毎回お話する内容を変えている講師にとっては、このヒアリングという作業は非常に重要だと思います。

2.講演プログラムづくりと提案

さてヒアリングが終わったら、講演の内容を考えます。そして提案をしていきます。

 

具体的には、講演・セミナー当日のプログラムを作って、主催者さんに提案していきます。

いきなりプログラムって言われても、どんなものか、よくわからないと思います。
プログラムっていうのは、講演内容を目次化したものというか、
インデックスというか、見出しリストというか、内容箇条書きというか、アジェンダとも言う人もいるし、料理で言えばお品書き、そんなイメージです。

 

90分講演のプログラムであれば、だいたい、多くても10行ぐらいの箇条書きだと思います。
そういうのを作って主催者さんに提案するわけです。
もちろん、プログラム10行の箇条書きを読んだだけで、主催者さんは内容までわかるわけがないので、中身についても、しっかりZoomとか電話とかで説明していきます。

実は、私の場合、このプログラムが出来上がる段階で、すでに頭のなかでは、講演全体がほとんど出来上がっている状態です。

全体的な時間をどう配分して、最初になにを話して、次にどう展開して、どこら辺でどのようにびっくりさせて、どこでモチベーションを上げて、どう感心させて、どう終わっていくか・・・
プログラムを作り終える頃には、すべてが頭の中でイメージされています。
言い換えれば、「プログラムの完成=頭の中では講演はおおよそ完成」 という感じです。

 

まだ、資料も作っていないし、具体的に何を話すかも細かい部分は決まっていません。
それでも、目次をつくって、提案している段階では、頭の中ではほとんど完成しているんです。

 

◆講演プログラム企画の手順

じゃ、次に、わたしがどのように頭の中でプログラムを作っているのか?
ほとんど頭の中で行われる作業なのですが、言葉にしてみたいと思います。

①まず、時間によって、講演で伝えるノウハウの中心コンテンツを決めます。

打合せ段階で決まったテーマのなかで、当日、なにを話すかを決めていく段階です。
まず、時間によって内容コンテンツの量が決まってくると思っています。

60分講演で2テーマを扱うのは時間的に短すぎて難しいと思ってます。
例えば、「ネットマーケティングのコツと、営業トークのコツ。その2テーマについて60分で講演して欲しい。」となると、これは難しいと思います。
60分という短時間に、この分野の違う2つのテーマを強引に入れると、どっちつかずになってしまう可能性が高いからです。

おそらく、二兎追う者は一兎も得ず、になる可能性が高い気がしてます。

しかし講演時間が120分となると迷いますね。内容によっては2テーマ入れることも出来そうだし、1テーマをしっかり事例を加えて説明したほうが満足度が高くなる気もします。

このように、講演時間、セミナー時間によって、どのような中心コンテンツをどれぐらい入れるのか、を決めていきます。

②次に、講演で伝えるノウハウの中心コンテンツの伝え方を決めます。

打合せで決まったテーマに沿ってコンテンツを考えるのですが、
例えば、「ホームページの作り方には、ある程度の勝ちパターンがある」っていう1つの中心コンテンツにしようと決めたとします。

これが講演のメインテーマです。

このメインテーマ=中心コンテンツを詳細にわけていくと、どういった項目に分かれていくかを考えます。

○ノウハウのオンパレード系
こういうスタイルだとすれば、【ホームページの作り方、7つの成功法則2022】とかいうタイトルが良いのかも知れません。ノウハウが並列にならべられていて、それらを順番にお話していくものです。

○ステップ1、ステップ2と、段階をおっている系
こっちなら、【ホームページの作り方、成功の7ステップ2022】という感じでしょうか。
ノウハウは順番化・手順化されていて、それを順番に話していくものです。

どちらでお話していくのかを決めていきます。

③事例を思い出します。どう紹介するか?紹介の切り口についても検討します。

中心コンテンツをお話していくとき、事例を紹介するのも大事なことです。

私のような、マーケティングやセールスという実務スキルを講演で話す講師であれば、
ノウハウだけをお話するのではなく、それを実践してみた事例などを見せるのも、参加者の理解を深めるのに有効だと思うからです。
だから、どのような事例があるかを探して、講演での紹介許可をもらったりするのも、この段階です。
ただし、事例提供者に不利益を生じさせないような配慮も考えて、事例は一部分しか見せないように工夫をしていたりもします。
(そのままパクってもうまくいかないようにね、ちょっと意地悪)

④講演聴講者が、まず、なにからやればいいのか?考えます。

講演の最後に、参加者がなにからやればいいか?迷うことも多いと思います。
そこで、難易度の高い講演テーマの場合は、「まずはこれからやってみて下さい。その次はこれです」
と、手順をお話することがあります。
それも、事前に考えておかないと言えません。

⑤ざっくり手書きのメモで、パワーポイントにする前の下書き落書きみたいなのを作ります。

ここまで出来たら、実際のパワポを手書きで作ってみます。
ほんと落書きで、とても他人には見せられないような品質のものです。
なぐり書き、くしゃくしゃメモ。判読不能。
図なのか、みみずなのか、よくわからないメモです。

⑥全体の構成がだいたい決まるので、ここでようやく、冒頭の「つかみ」を考えます。

つかみは、なぞかけと同じです。

例えば、【ホームページとかけて、映画の予告編ととく、その心は? 最初の5秒が勝負です。】ってな感じです。
※上記の例が、世界のなぞかけ史上、類を見ないレベルの低さであることは、言われなくてもわかってるので、そこはスルーして頂くところです。

 

ホームページと映画の予告編は、『最初の5秒が大事』とか、『見せる順序が大事』とか『行動を起こさせる部分が必ず入れてある』とか、そういう共通項が見つかります。

そうすると、つかみでは、

「映画の予告編と、ホームページは似ている」
と導入していき、
・最初の5秒が大事
・本編と予告編では見せる順序が違う
・◯月◯日から公開!と具体的
とか紹介していきます。

参加者は、冒頭のつかみを理解できず、「???」となっていますから、講演の話を聞かざるをえず、予告編とホームページの類似点へと話は展開し、
・最初の5秒、つまり、ファーストビューがすごく重要
・どのように見せるか?情報の順序が大事
・コンバージョンさせるアクション部分はすごく大事
みたいな風に展開していくわけです。

 

うまいこと言うなぁとか、なるほどなぁ、とか反応はいろいろでしょうが、ひとまず引き込むことは出来るんじゃないかなと思います。

 

この、つかみについては、いろんな手法・考え方があります。
ここで紹介した、なぞかけ、ってのは手法1つのパターンに過ぎません。
だから、こうしないと駄目とか、これが良いってわけじゃないですよ。
あくまでも、「わたしは、つかみを大事に意識してます」ってだけです。

 

⑦全体を調整します

頭のなかで、リハーサルみたいなのをやると、何分ぐらいの時間が必要なのか、だいたいイメージして、1から5を、こういうのを繰り返して考えて、
「これぐらいの分量でいいな」と思うように、落書きを調整します。

 

⑧もうOKだな、と思ったら、それをプログラム化・目次化していきます。

 

 

こうやって、プログラムの最初の10行が作られていくわけです。

 

 

いかがでしょうか?

 

私に関しては、プログラム考えるのって、結構むずかしくって、チョチョイのちょいというわけにはいきません。
結構な時間かかったりします。

 

なので、プログラムが完成しつつある段階で、「佐藤先生、実は、あの講演、無くなっちゃいました、さーせん」とか言われると、顔は笑ってますが、心の中は号泣しています。

 

 

 

3.講演資料づくり

こうして、講演・セミナーのプログラムが完成したとします。

講演主催者さんからのOKも出ました。

さあ、ここからは、いよいよ資料(私はパワーポイント)の制作に取り掛かります。

 

GoogleだとGoogleSlidesとか、マイクロソフトだとPowerPointというソフトを使って資料を作ります。

講演の全体的なシナリオについては、前段階の【2.講演プログラムづくりと提案】というところで、しっかり検討してありますから、この段階では、それに従って作るだけという作業です。

 

◆準備するもの

A4の白紙コピー用紙をたくさん

サインペン3色(黒、赤、青とか緑とか)

 

◆資料づくりのステップ

ステップ1.全体構成どおりに荒削りで作ってしまう

ステップ2.各ページを手書きで作り込んでいく

ステップ3.パワポで作りはじめる

ステップ4.完成させる

ざっくり言ってしまえば、これだけのステップなのですが、これがまた私にとっては難しいんです。

デザインが得意な人にとっては簡単かも知れませんが、私にとってはデザインというは難しい。

 

【なにを伝えるか?】=内容

と、

【どのように伝えるか?】=見せ方、魅せ方

は、まったく別のノウハウが必要なのです。

 

この段階で必要なスキルは、「どのように魅せるか?見せるか?」という表現上の巧さだと思います。

ここで残念なお知らせです。

 

結論から申し上げますと、結局、私はデザイン・スキルを身につけることを断念してしまいました。

結局のところ、パワーポイントのデザインを専門に仕事にしていらっしゃる方に、パワポデザインの仕上げ制作を依頼しています。

プロに発注して作ってもらってるということです。

 

 

お恥ずかしい限りではありますが、恥を忍んでサンプルをお見せします。

こちらが私が自分で作った「営業マン向けの交渉力アップ研修」の資料のなかの1ページ。

こちらはプロに作ってもらった同じ内容のページ。

 

「えっ?これだけ?あ、こんな程度のデザインが作れなかったの?」とか心の中で思いましたか?

えーそうですよ。

デザイン本を買って勉強しましたしね、Youtubeも見たし、それでも、どうにも上手にならないし、順調に悪いほうにしかいかない。

 

お値打ちで良質なパワーポイントを制作してくれる外注先さんを探すのは苦労しましたが、

最初に、プロが作ってくれたパワーポイントを納品してもらった時、あまりの出来栄えの良さに、「誰か別の講師の資料を間違えて私に送ってきたのではないか?」と疑ったぐらいです。

 

内容に良い自信があるのなら、資料は格好良いほうが、圧倒的に説得力がある。

今では本当にそう思います。

 

参考までに、私が学んだ資料づくりのコツについて、少し情報を整理しておきましょう。

 

デザインの基本原則は、

1.近接

関連する項目はグループ化させたり、ひとつの視覚ユニットとして認識させることが大事。

2.整列

すべてのパーツ部品は、意図的に配置していくことが大事。洗練さ、わかりやすさに繋がります。

3.反復

色、形、線の太さ、画像などの視覚要素を繰り返すことで、わかりやすくなるし、一体感も生まれます。

4.コントラスト

類似の内容でないなら、はっきり違わせることが大事。

 

これらに加えて、講演資料には、文字が使われますから、

5.活字(フォントとか)

という要素が加わります。

 

こうした内容は、「The Non-Designer’s Design Book」という本からも学びました。

情報がすごく整理されていてわかりやすかったので、おすすめです。

 

 

また、スライドシェアというサイトもあって、こちらにも書籍化されたほどの人気資料があります。

とてもわかりやすく、パラパラっと見れるので、これもおすすめです。

 

 

4.講演の当日(講演スタートまで)

講演・セミナーの資料も完成し、いよいよ講演当日です。

私は、講演前になると吐きそうになるぐらいに緊張するので、しっかり準備していきます。

講演の当日、なにを考えて、どのように過ごすのか、私なりのルーティンを紹介します。

 

◆事前のメモ書きと練習

20年以上前、コンサルタントとして仕事をスタートした頃のわたしは、「口から話すトーク内容」について一字一句すべてのセリフを、台本みたいに準備していたことがあります。

その台本を事前にロープレをして、それを録画して事前チェックしたりもしていました。

時間配分や、話し方のクセ、表情など、自分で自分の映像を見てダメだしするのは心底つらいのですが、何度もやっていた記憶があります。

また、著名な講演家の講演会を聴きにいって、録音して、自分ですべて文字起こしをして、勉強材料にしていたこともあります。

いまでは、そこまではやっていません。

しかし、簡単なセリフメモのようなものを資料に事前に書き込んだりして、トーク忘れ防止に役立てています。

また、2時間の講演でも、10分間ぐらい目をつぶって頭の中で倍速イメージをして準備をしていたりします。

 

◆あいさつ

講演会場には出来るだけ早めに着くようにします。到着したら主催者さんにご挨拶をします。

会場設営や、パソコンやプロジェクタの設定をされていたり、忙しくされている事が多いので、手短に邪魔しないようにご挨拶です。

時々、パソコンの設定とかでお困りになられている主催者さんもいて、そういう時は、私そこそこ詳しいので、設定を手伝ったりすることも少なくありません。

 

◆その他の相談

ご挨拶が終わると、そのまま控室だったり、会場の後ろのほうに座ったり、講師席に座ったりします。このとき、主催者さんからご相談を頂くことがあります。

今日のイベントの開催趣旨だったり、来賓の方への配慮だったり、参加者さんに伝えたい想いだったり、事前の講演依頼のときには無かった情報が追加されることもあります。

そういう場合は、資料に書き込んだメモを修正する必要がでてきます。

そのためにも少し早めに到着するわけです。

◆機器セッティング

講演会場によっては、主催者さん側で準備してくださったパソコンやプロジェクタなどを使うこともありますが、講師が持参したパソコンを使うことも少なくありません。

その場合には、私のパソコンを接続しないといけません。それも事前に機器セッティングを済ませます。接続端子が特殊な場合もあるので、アダプターは必ず持ってます。

 

◆机の上の資料、他

これは講演やセミナーの受講者(参加者)さんの机の上の資料についてです。

講演やセミナーが始まるまでの間、受講者さんはスマホを見たり、机の上の資料に目を通したりしています。つまり、事前に情報が入ってくるわけです。

講師がそれを知らないのはまずい。だから机の上にどのような資料があって、それを見た受講者は、なにを考えるだろう、どう思うだろう、とイメージしておくわけです。

 

◆式次第のチェック

机の上の資料と同じで、私の講演がスタートする前段階で、どのようなイベントがあったのかについても知っておく必要があると思います。

例えば、新商品発表会があって、そのあとに講演という場合には、どのような新商品が発表されたのかを知らずに話すのは様々なリスクがあります。

ほかにも、とある団体の年次報告会のあとに講演という場合、どのような報告会だったのかを知らずに講演をするより、知った上で講演をしたほうが良いに決まっています。

だから、出来るだけ式次第の知識はいれておきたいし、出来ることなら講演前のイベントから参加しておけるに越したことはありません。

 

◆緊張対策

わたしは、20年近くコンサルタントをしていて、講演講師、セミナー講師というのも20年間近くやっています。

それでも、緊張は変わらずします。

「佐藤先生、人前で話すときに、緊張しないコツってありますか?」

こう質問されることは、実は少なくありません。

よく考えてみると、この質問の前提には『緊張しないコツが存在している』というのがあります。

わたし、そんな緊張しないコツがあるっていう前提そのものを疑ってます。

大勢の前で話すときは、誰だって緊張する。

緊張とどのように付き合うか?

緊張をどのように処理するか?

私なりの緊張対策というのは、どちらかというと、そう考えてやってきています。

じゃ、具体的に緊張対策をどうやってるか?

まず、緊張して当然だ、誰でも緊張するものだ、という風に考えます。

緊張しているのを駄目だと思わないということです。

次に、手、足、口、ほっぺた、ひざ、もも、ひじ、こし、声、目、と口に出しながら、その部分を動かすようにします。

これは緊張してくると、そういう身体の部分部分の感覚が薄まってくる気がするからです。

それでも緊張が増してきて、もうだめ、ってなったら、講演がスタートしてから、

「ものすごく緊張してます。だんだん調子が戻るまで、滑舌、表情、だめだと思いますが、すこしご容赦ください。じゃ、はじめます。・・・・」

と正直に言ってしまいます。ここだけは丸暗記です。

 

 

5.講演の当日(いよいよ講演スタート)

講演・セミナーがいよいよスタートします。

会場を見ると、時々、見たことのある顔なじみのお客さんがいてくれたりもします。

笑顔で聞いてくれている参加者さんもいるし、資料をペラペラめくりながら聞いてくれている方もいます。

なかには、腕を組んで怖そうな顔で睨んでいる(ように見える)参加者さんもいます。

 

さあ、講演がはじまって、挨拶を終え、話はじめます。

お話をしながら、講演講師・セミナー講師としての、わたしの頭のなかは、どのように動いているのか、少しお話します。

 

講演で話している最中の注意点について、私は20年前にある先輩コンサルタントの方が、1つだけ大事な教えをくださいました。

その方は、寂しいことに、現在は亡くなられてしまっています。

でも、今でも、彼が教えてくれた、その1つのコツをしっかり意識しながら講演をしています。

「佐藤くん、講演のコツはのぉ、会場全体と会話することなんよ。講師がこんにちは、言うたらの、会場全体が声に出さんでもこんにちはと返すもんなんよ。それを待って次を話し始めたらええんよ。待たなあかんよ。我慢できんと話し始めたらだめ。そうやっての、講演とかセミナーとかは、会場との会話だと思ってやったらええんよ。そんだけのことよ。あとのことは細けえ話じゃけ、ほっときゃええ。佐藤くんは頭がええから、大丈夫じゃ」

東京の神楽坂で中華ランチを食べながら、笑ってしてくれたアドバイスが、いまでも耳に残っています。

 

確かに、講演途中でのコツというのは、いろいろ言われています。

わかりやすく伝わっているかどうか、早口になっていないかどうか、そういったチェックも大事ですが、それらも実はすべて、会場との会話が成り立っているかどうか?という事に集約するのではないでしょうか。

 

だから、私は、講演途中での話し方のコツというのは、「会場全体との会話」、これ一つで良いと考えています。

 

6.終わりとアンケート(評価から学ぶ)

やっとのことで講演・セミナーが終わりました。

もし可能であれば、最後にアンケートをとらせてもらいます。

主催者さんが独自のアンケートを準備している場合もありますが、もし、そういう場合なら、

「こういうアンケート項目は入れて頂けないですか?」

とお願いしたりもします。

 

それは、『今日の講演・セミナーで記憶に残っている良かった点は?』という質問です。

 

この質問をすることで、参加者の頭はすこし整理され、実践・行動へとつなげやすくなったり、モチベーション維持にも役立ちます。

また、講師としても、次に似た内容の講演・セミナーをお話するときに、どの部分を強調して話すのが良いか、そのガイドとなる参考情報が得られます。

そういう意図があって、この質問を加えてもらったりしています。

 

ただ、アンケートのなかには、今後のために改善点を教えてください、という項目があったりします。

それも大事だと思います。反省することは極めて重要。

しかし・・・私は、雨にも負け、風にも負け、少しの雪にも負けるぐらいメンタルが弱いので、ネガティブな意見とか、凹むコメントが続くと、次から講演の仕事を請けるのが嫌になってしまうので、出来るだけ見ないようにしています。すみません。

 

 

 

 

いかがでしょうか?

講演講師を頼まれた時のコツ。

出来るだけ詳しくお話したつもりです。

 

講演やセミナーの講師という大役をとおして、多くの方々と出会うことが出来ます。

今の私が仕事をさせて頂けているのも、そうした出会いがあったからこそです。

 

参加者さんは、わざわざ貴重な時間を割いて、誰かの話を聞きに行くのです。

たくさん準備するのが当然だとおもっています。

たしかに、大勢のひとの前で話をするのは、準備も大変だし、緊張もしますが、それを大きく超えるだけの出会いや良いことが待っています。

 

ぜひ役立てていただければ幸いです。

 

 

【執筆者】株式会社マーケティング・トルネード代表取締役 佐藤昌弘(執筆者プロフィール

 

 

 

追伸

全力でタネ明かししてしまっていますので、少しやりにくく、小っ恥ずかしい気持ちがしますが、講演主催者さんがこれを読まれていらっしゃいましたら、ご講演・セミナーの問合せください。

m(_ _)m。

 

 

 

 

 

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