【プロが解説】営業の目標設定のコツを紹介!目標設定の重要性・具体的な思考法も教えます

株式会社マーケティング・トルネードの佐藤です。

 

効果的な目標設定が定まらないのは、営業業界において、管理職から一社員にとっても悩みの種です。
今回は営業目標が会社に与える効果を説明するとともに、売り上げに直結するような営業目標の立て方を紹介します。

 

「自社の商品やサービスには自信があるのに売れない」
「営業担当によって成績に差があり過ぎる」
「営業成績を上げたいけれど何から始めていいか分からない」

といったお悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

目次

 

この記事の執筆者プロフィール

株式会社マーケティング・トルネード 代表取締役
佐藤 昌弘

経営コンサルタント、研修講師
京都大学経営管理大学院元講師、岐阜大学大学院元非常勤講師
愛知県出身、京都大学工学部卒。地元都市ガス会社を脱サラ後、住宅リフォーム会社を創業。3年で年商3億円に成長後バイアウト。2002年株式会社マーケティング・トルネード創業。年商数百万円の個人事業者から一部上場企業まで、中小企業を中心に、累計5000件以上のコンサルティングを実施。心理学を応用した独自の営業トーク研修は好評。
(著書)
凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストークシュガーマンのマーケティング30の法則(監訳)儲かる営業力見るだけノート、最高の営業デビューなど、計28冊。

営業で目標設定を行う重要性とは

営業という仕事には、年度目標や、月次目標など、目標数値がつきものです。
そして、その目標数値の達成率を管理していきます。
これらは、営業現場では当たり前に行われていますが、そもそもどうして営業には目標設定が必要なのでしょうか。

その理由を解説していきます。

◆会社のヴィジョン(将来のあるべき姿)を達成するため。

営業における数値目標とは、会社が掲げるビジョンの一部と考えることができます。

 

元々、企業の経営者は事業の成功を目標に掲げています。
事業の成功とは、その経営者が掲げるイメージ・夢・ビジョンと呼ばれるものが達成されている状態のことです。

 

そして、ビジョンは必ずしも数値で測れるとは限りません。

例えば、

  • 従業員の働き方
  • 会社規模
  • 業界シェア率
  • 地域貢献のあり方

など、数値で測れるもの・測れないものが存在するのです。

 

その中でも営業目標は「数値化できるビジョン」に該当します。

例えば、会社として掲げた10年後のビジョン達成に向けて、1年後の目標を立てるとします。
その目標が月次売上1,000万円で、10人の営業マンがいる場合、1人あたり100万の売上を毎月挙げる必要があります。

会社のビジョンを達成するための数値的目標の一つに、営業目標が存在します。
つまり、これを達成しなければ必然的に会社のビジョンも達成できないのです。

 

 

営業の売上に良い影響を与えるため

営業目標を設定することは、当然ながら会社の売上を伸ばすことに大きく影響します。達成すべき売上金額や契約件数が具体化されれば、営業活動の軸が定まり、その達成に向けて何をすべきかが明確になります。

 

しかし、組織に目標設定がなければ、営業活動に大きなブレが生じてしまいます。
基盤となる目標数値がないことで、社員の目指すべき共通意識が薄まってしまい、個々の社員の行動規範が定まりません。
当然ながら売上もまばらとなり、会社の将来に不安を感じた社員が会社を離れることを考えるのも時間の問題です。

 

利益を増やし安定した経営を行うためには、組織全体で共有されている目標設定が極めて重要なのです。

継続的に達成できる営業目標があることで、営業担当者の士気が高まります。

 

社員のマネジメントを効率化するため

営業目標を設定する際には、新規顧客や既存顧客への訪問数、契約率、次回のアポイント獲得率、粗利益など、営業プロセスを細かく仕分ける必要があります。

そうした営業プロセスを積み上げた結果、営業目標の数値になるからです。

そして、営業社員の各々にとっての課題も明確化されます。

例えば、顧客への訪問数は十分だけれど、契約率が目標に足りていない担当者がいるとします。その担当者にとっての課題は、顧客に自社の価値を伝える商談テクニックということです。
契約率は高いものの獲得している売上が少ない人の課題は、そもそもの顧客訪問数を増やさなければならないことです。

このように、営業目標を設定すれば、営業担当一人ひとりのウィークポイントがはっきり見えてきて、個々に適した目標を設定せざるを得なくなります。それこそが、組織全体の営業力の底上げに効果的なのです。
一人ひとりの重点的にマネジメントする課題点が明確になることで、組織運営が効率化されます。

また、社員一人ひとりの目標数値が可視化されれば、個人でも把握できていないような、本人自身の得意分野や苦手分野の気付きが生まれます。
営業目標の設定は、社員一人ひとりの新たな可能性を見つけることにも効果的です。

◆必要な「利益」を確保するため

 

社員が100人いて、営業マンが20名の会社があるとします。

1人あたりの給与が30万円であれば、100人いるわけですから、単純に、3000万円の粗利益がないと給料を支払うことが出来ません。

会社は、経営ヴィジョンを達成するためのものでもありますが、「社員の生活の糧」を稼ぐための大切な存在でもあります。

収入が少な過ぎれば、生活も苦しくなってしまい、社会貢献どころではなくなってしまいます。

だからこそ、経営者の本分のひとつは、「稼ぐ」ということでもあるのです。

営業上の目標数値は、そうした「利益」を確保するために、どれぐらいの売上を達成しなければならないか、という目安の数字でもあります。

 

◆「役割分担」と「責任範囲」を明確にするため

 

同じ人の集まりでも、「組織」と「群衆」は違います。

その違いは、同じ目標を持っていること、そして、役割分担と、それを合わせるということだと言われています。

 

つまり、組織であるためには、役割分担がつきものなのです。

 

では、「1人の営業マン」の社内での役割分担はなにでしょうか?当然ですが、売上を上げることも役割のひとつであり、その責任範囲を明確化するためにも、目標数値は大切なのです。

 

◆ 部下を数値で管理するのに必要

 

営業の目標設定は、「売上高」だけではありません。

新規顧客への訪問数、アンケート用紙獲得数、次アポ数、成約数、粗利益率、リピート率など、営業プロセスを細かくわけた数値を、サブ目標としてもっています。

これは、部下を具体的な数値で管理するためにも大切な指標となります。

 

目標の達成率や進捗状況を見れば、

「目標の数値に向かって、次アポは取れているが、見積もり提案数が足りてないな。つまり、次アポの時にちゃんと要望ヒアリングが出来てないのかも・・・」

と、部下への指導のイメージをすることが出来ます。

 

また、自己分析にも役立ちます。「今月は、新規顧客への訪問数が少ないが、次アポ率も、成約率も高い。成績アップのためには、訪問数を増やせば良いな」と、自分で自己分析できるのです。

 

◆部下のモチベーションアップのため

 

実現可能な目標を設定し達成したという成功体験は、営業担当の自信を生み、さらなるモチベーションにつながります。

 

「マネジメントの父」と呼び名の高い経営学者・ドラッカーは、組織における目標管理に「MBO(Management by objectives)」という概念を提唱しています。

MBOとは、社員が自ら目標を考え、達成に向けて行動を能動的に起こさせるマネジメント手法です。

 

上司や経営陣の考えをトップダウンで押し付けるのではなく、自らが目標を設定することで、社員一人ひとりのモチベーションと主体性を高める狙いがあります。

部下の得意・苦手分野や現状を鑑みない、上司の主観のみによる目標設定を一方的に行ってしまうと、目標を課された側はそれを自分ごとにできず、達成への意欲もわかないでしょう。

社員自ら能力や実力に見合った目標を立てることで、「達成したい」という当事者意識が生まれ、達成に向けて試行錯誤する習慣が身につきます。

 

社員の役割を可視化するため

営業メンバーが複数いる場合、それぞれ個々の営業メンバーの役割を明確にするためにも目標設定は不可欠です。
そもそも営業職は、個々で活動することが多い仕事です。

だからこそ、チームで働いているという意識が希薄になることがあります。

営業マンも組織の一員として働く以上、分業意識を持つことは大切です。

営業組織のメンバーとして、自分に与えられた役割は何かを明確に理解し、責任範囲を明確にしましょう。

「営業チームのなかで、売り上げを上げるために、チームに貢献するために何ができるのだろう?」そのように常に問いかけることで、目標設定も変わってきます。

目標設定するうえで大切なポイント

いよいよ目標設定の仕方について踏み込んでいきます。

 

・・・とその前に、営業マンの目標設定に大切な2つのポイントを話しておきますね。

 

目標設定に大切な2つのポイント!

●     根拠のある明確な数字で目標設定を作成すること

●     達成できる目標設定を作成すること

 

とても大事なポイントです。

 

◆KPIに矛盾しないことで、根拠のある数字にする

とても大事なポイントです。

 

トップダウンで決めた目標設定の場合に陥りがちなのですが、「今月の売上が営業部全体で1,000万円だから、ひとり100万円が売上目標です」といわれたら、営業マンはどう思うでしょうか。

 

この100万円には、妥当性が足りていませんよね。どうして単純に均等割なのでしょう?

また、「どうやって目標を達成するか」という視点がすっぽり抜け落ちているのも、わかるでしょう。

 

ほかにも、以下のような目標設定はまったく根拠がないためNGです。

 

×根拠のない目標設定の悪い例

 

●     全体の売上目標を単純に振り分けた目標設定

●     「前年比の10%増」など、単純に過去実績を参考にした目標設定

●     「みんな頑張ってるから」など精神論に基づいた目標設定

 

根拠ある目標設定とは、営業プロセス全体の細かい数字に矛盾しないことが大切です。

 

〇根拠のある目標設定の良い例

 

  • チラシの反響数は、10000分の1。50万枚配布するから50組の新規顧客数
  • 50組の新規顧客数に対して、アンケート取得率は95%、つまり48組
  • 49組のアンケート客のうち、次アポは8割(つまり39組)
  • 39組の客のなかで、見積もり提出率は8割(つまり31組)
  • 31組の見積もり提出数で、成約率6割(成約数18契約)
  • 成約単価および利益率は・・後略・・なので目標達成

 

※さらに売上を向上させるためには、具体的に、どのような計画・プランを立てれば、これらの数字を向上させられるか?それを検討して仮説を立てた上で、新たな目標設定へと反映する。

 

 

これらの数字には根拠があるため、達成できる可能性が高い目標設定になっていることがおわかりでしょう。

 

 

営業に適した目標設定の確立法

営業目標の設定には、既に確立されている幾つかの方法が存在します。

 

これから紹介する目標設定の確立方法を知り、自身や自社に適した方法を見つけてください。

◆グループ全体の目標設定「SMARTの法則」

SMARTの法則とは、コンサルタントであるジョージ・T・ドラン氏が1981年に提唱した目標設定の手法です。

目標設定の要素を「Specific」「Measurable」「Assignable」「Realistic」「Time-related」の5つの成功因子に分けていて、その頭文字が「SMART」となります。

  • Specific(明確性)/設定した目標は明確なものか
  • Measurable(計量性) … 目標達成率や進捗度を測定可能か
  • Achievable(達成可能性) … 達成可能な目標であるか
  • Relevant(関連性)… 会社のミッションと関連のある目標になっているか
  • Time-related(期限設定)… 目標達成に期限を設けているか

 

それぞれの項目の詳細と、具体例を紹介します。これを参考に、ぜひ貴社の目標設定を作ってみてください。

Specific(明確性)/設定した目標は明確なものか

目標には明確な根拠が必要です。どのようにその数値目標を設定したのか、売上の数字を細分化して、明確な根拠がある目標を設定しましょう。

 

具体例:

新人のAくんは1軒あたりに少し訪問時間がかかるが、1日3軒は回れる。

今月は訪問スピードを上げてもらって、1日3軒を3.5軒にしてもらう。

前月の成約率は50%で、1軒あたりの成約額は2万円。

 

→今月は1日3.5軒×20日×2万円×50%で、70万円(前月より10万円の売上アップ!)

 

このように具体的に明確に設定した目標であれば、達成できない場合にも「どの部分が足りていないのか」把握しやすく、改善点が見えやすくなります。
営業担当本人としても、どのようなアクションをとれば目標を達成できるのかが可視化され、改善に向けた道筋が明確になります。

◆Measurable(計量性)/ 目標達成率や進捗度を測定可能か

目標達成率や進捗状況を量的に測定できることも必要です。先ほどのSpecificで売上を細分化していれば、どの部分が足りていないのか、逆にどの要素が順調だから達成できたのかを明確に把握できます。
また、営業スキルといった測りづらい要素をあえてスコア化するのも有効な施策です。

 

具体例:

新人のAくんの営業スキルを60点から80点に上げて、成約率をアップさせたい。

そのために、同僚や上司に商談に同行してもらい、プレゼンテーション評価スコアを付けてもらう。

 

→プレゼンテーション評価スコアが上がり、成約率がアップすれば、売上もアップする!

◆Achievable(達成可能性)/達成可能な目標であるか

希望的観測や精神論ではなく、「実現しうる」目標を設定しましょう。

これはSpecificとも関連しますが、明確な根拠に基づいて、達成可能な目標を設定する必要があります。

 

具体例:

新人のAくんは1軒あたりに少し訪問時間がかかるが、1日3軒は回れる。

今月は訪問スピードを上げてもらって、1日3軒を3.5軒にしてもらう。

 

→1日3軒を4軒にスピードアップさせれば売上は1.3倍になりますが、無理な目標設定はNG。

◆Relevant(関連性)/営業戦略と関連のある目標になっているか

営業マンの目標は、組織や会社の戦略・ミッションと密接にかかわっている必要があります。いくら実現可能で根拠ある目標設定でも、営業戦略と関連性がなければまったく意味のないものになります。

 

具体例①:

目標金額には達成したが、会社が売りたいAという商材ではなく、Bという粗利率の悪い商材ばかりを売ってしまった。

 

→上司が売上の内容を都度確認し、軌道修正することが必要。

 

具体例②:

新人Aくんを育てるために、名刺交換の数を目標設定した。結果、その目標は達成したが、売上は伸びなかった。

 

→次のフェーズとして、成約率を上げて売上を伸ばす方向に軌道修正が必要。

◆Time-related(期限設定)/目標達成に期限を設けているか

良い目標には期限が必要です。
同じ数値目標でも、1週間で達成するのと1年かけて達成するのでは、その意味はまったく違ってきます。
目標を立てる際は、1カ月後の目標なのか、1年後の目標なのか、明確な期限を設定しましょう。

中長期的な視点から考えると、年間目標、四半期ごとの目標、1カ月ごとの目標、1日ごとの目標…と細分化して設定すると、進捗状況も把握しやすいのでおすすめです。

 

具体例:

1年後に売上を2倍にしたいと考えていて、来月の目標を1.5倍にした。

 

→期限ごとに最適な目標設定が必要。1年かけて売上を2倍にするならば、1カ月ごとに1.17倍にしていく。

 

◆個人営業で目標設定なら「ベーシック法」

ベーシック法とは、「目標項目」「達成基準」「期限設定」「達成計画」の4ステップで構成された、目標を設定するうえで最も基本的な方法です。

個々で目標を立てる場合、
「目標設定の方法がわからない」
「目標を設定しても成果を感じられない」

このようなお悩みを抱える営業担当は少なくありません。
そういった場合に、ベーシック法はおすすめです。

まずはベーシック法のファーストステップである「目標項目(=何を達成したいのか)」を設定しましょう。

何を目指すのかが明確になれば、後はそれに向かって進むのみです。

4つの目標のタイプについて紹介します。

目標のタイプ1:向上・強化

現状に満足することなく、さらに実力を高めていこうとステップアップを望む目標項目です。
例えば、あなたがシステムエンジニア上級者向けの資格「システムアーキテクト」を受験するとします。これは設計や分析などの工程を担う難易度の非常に高い資格です。
試験までの間は「資格に合格すること」が目標です。しかし、試験に合格した後はどうでしょう。達成したゴールのさらに先を意識して、到達するための道筋を考え新しい目標を設定する必要があります。

自身のスキルをさらに高めるためには、現状に甘んじることなく目標の難易度をさらに高めることが大事です。
「勉強した内容を部署内に展開して、チーム全体の士気を高めよう」「資格を活かして転職しよう」のように、目標設定を強化し、現状からレベルアップできる目標を立てましょう。

 

目標のタイプ2:改善・解消

何か課題や問題を抱えている現状があり、それを改善、解消するための目標設定です。
例えば、仕事が忙しくてなかなか資格勉強の時間がつくれず悩んでいるとしましょう。

この場合、睡眠時間を削ってやみくもに試験勉強を頑張ったところで、問題解決には繋がりません。疲れが溜まり、仕事や私生活に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。

目標に向かう過程でこうした課題点に直面することは多々あります。課題や悩みが現れた場合は、目標を改めて考え直すベストタイミングです。問題点をスルーせず、改善・解消するための目標を再設定しましょう。

まずは、上記の悩みの改善・解消点を探りましょう。
先程の例の場合、試験勉強の時間がつくれないことが直面している問題です。そこで改善にあたって、通勤時間や営業活動の移動時間などのスキマ時間を活用する策を設定できます。

目標設定は、成績や利益を高めるポジティブなものばかりでなく、問題点を改善・解消するといったベクトルの目標を組み込むことで、さらに精度の高い仕事ができるようになります。

目標のタイプ3:維持・継続

現状をこのまま継続することが困難である場合は、その状態を維持するということ自体を目標項目に設定できます。つまり、現状維持が目標になるということです。

例えば、去年は毎週土日に試験勉強を2時間確保できたから、今年も継続しようといった目標設定です。今まで積み重ねてきたことを継続し、途中で挫折することなく行動を維持することで成果が生まれます。
これは、営業活動にも活用できます。

例えば、大口顧客に今後も案件の受注を続けてもらったり、セミナーへの参加を続けたりするなど、成果に結びついている行動を維持すれば、さらなる売り上げに結び付けられます。

 

目標のタイプ4:創出・開発

今までに挑戦したことのない新たな目標設定をすることです。
上記でご紹介したベーシック法の「向上・強化」「改善・解消」「維持・継続」の3つの項目は自身で意識できる目標です。
しかし、「創出・開発」は新規のサービスを作り出したり、今まで経験したことがない新しいことを始めたりするなど、達成へのハードルが高くなる傾向にあります。
難易度は高くなりますが、その分達成した際の充実感や成果は大きいでしょう。

例えば、海外展開を視野に入れ英会話を習うなど、新たな挑戦をしてみましょう。

スキルの習得に限らず、今までの自分を変えてみることも一つの創出・開発です。
休日は家で過ごすことが多いから、思い切って外で過ごす時間を作ってみる。
趣味はフットサルやランニングのような体を動かすことばかりだったから、今後はアートにも触れてみる。
このように、創出・開発を意識した目標設定は、自身の能力の幅を広げられます。
新たな目標に挑戦する姿は、同僚や部下たちに良い刺激を与えるでしょう。

 

◆3点セット法

3点セット法は、上記のベーシック法を綿密に定義した目標設定法です。

「テーマ」「達成レベル」「達成時期」の3つの項目で目標を設定します。

まずは、何を達成するか(テーマ)を定めます。

目標を明確にし達成度を高めるためには、この「テーマ」を決める段階が重要です。

テーマとは「何をするのか」。つまりは目標そのものです。

「テーマ(目標)が中々決まらない」という方向けに、テーマを決める3つのテクニックを紹介します。

テーマを決めるテクニック1:安正早楽

安正早楽(あん・せい・そう・らく)とは、「より安く、より正しく、より早く、より楽に」行われるべきである、ということを示した言葉です。
営業活動だけでなく全ての業務に通ずる考え方で、課題の改善点を見つける際に活用されます。

例えば、新事業を立ち上げる際にもこの考え方は採用されます。

  • :業務をより低コストで手間をかけずに行えないだろうか?
  • :ミスなく、より正確に遂行できないだろうか?
  • :よりスピーディーに行えないだろうか?
  • :不要な労力を失くして、より楽に達成できないだろうか?

 

目標の数値化が難しい場合や目標の難易度を高めた場合に活用できます。
どのような目標を設定すればよいか悩んだ際は、「安正早楽」を参考にしましょう。

テーマを決めるテクニック2:自己否定

自己否定とは、「もし自分にそれができなかったらどのような問題があるか」という否定的な考えから目標を具体化させる方法です。

自身のつまづきやすい問題点や課題に着目して、「自分がつまづいたら、どのような悪影響を及ぼすか」客観的に考えることで、根本的な改善を目指します。

例えば、「もし、プロジェクトが自分のせいで予定通りに進まなかったらどうしよう」と自身へ問いかけてみましょう。すると、以下のような改善策が考えられます。

 

  • プロセスから遅れている要因を洗い出し、具体策を考える
  • 計画時点で、課題点が考えられるものには期間に余裕を見る
  • 上司や先輩に相談し、改善策を聞いてみる

目標設定時に自分の弱みや課題を改めて考えることで、具体的な改善策が見つかるでしょう。

テーマを決めるテクニック3:プロセスチェック

日々のルーティンやプロセスなど、無意識な行動を見直すことで、改善を目指す目標設定です。

通例として行っている業務フローを洗い出し、改善点を洗い出します。

そのフローの中から改善点を見つけて「テーマ」を決めていくのです。

例えば、既存顧客との打ち合わせを行う中で「現状取引している案件以外で、ほかに新しい取引はないだろうか」と考えます。

このとき、「顧客が抱えている課題を聞きだし、取引案件を増やす」ことがテーマになるわけです。

テーマを設定すれば、日々行っている営業プロセスを洗い出しましょう。

そうすることで、改善できる業務フローができ、具体的な目標テーマを設定できます。

これは意識して睡眠時間を確保したり、間食をやめたりなど、日常生活にも応用できる手法です。

営業における目標設定のテクニック

営業目標を決める際の基盤となる考え方を上記で紹介しました。
それに伴う個別の注意点・工夫できる点を紹介します。

 

進捗管理も併せて行うこと

営業目標を達成し社員のモチベーションを高めるためには、何の案件をいつまでにどこまで進められたか適切に進捗管理を行うことが大切です。
とくにチーム全体でプロジェクトを進行している場合は、個々のメンバーの目標到達具合を上司が管理できていなければなりません。

リアルタイムで進捗を把握することで、各メンバーへ適切なフィードバックが行えます。現状目標値に達成できていない、あるいは成績に伸び悩んでいる部下に対して的確にアドバイスを行えるため、チーム全体のパフォーマンス力の向上も図れます。

進捗管理を徹底することで、誤発注やダブルブッキングなどの人為的ミスなども明らかになります。チームのトップとして、そうした事態に早急に対応できるように日々の進捗管理は意識するように心がけましょう。

営業支援ツール(SFA)を使ってみるのも良い

営業で成果を上げるには、ツールの活用も検討しましょう。

多くのツールは当然使用に際してコストがかかりますが、うまく活用すれば、より売上を向上させることが可能です。

SFAとは、「Sales Force Automation(セールス フォース オートメーション)」の略で、営業活動そのものを支援するためのITツールです。

既存顧客の管理や過去の商談の履歴、アポイントメントや書類提出期限のスケジュールなどさまざまなタスクを一元管理できます。

SFAは全ての営業プロセスを可視化できるため、営業目標の到達具合を管理することも可能です。

また、遠隔地から入力することが出来るものも多く、各所を飛び回る営業マンが個々で利用しやすいツールとして選ばれているのも納得できます。

ただし、SFA導入は慎重に行うべきです。別のSFAに乗り換えようとしたときに、過去から入力してきたデータを移行することが出来ないものも多いからです。

営業の目標設定を適切に行い組織全体のパフォーマンスを高める

今回は、営業目標を設定することで得られる効果、適切な目標設定の方法について解説しました。

 

営業目標を設定することは社員一人ひとりの役割を可視化し、適切なマネジメントを図れます。

アメリカの心理学者ロックの「目標設定理論」によると、目標設定が困難であればあるほど、人はチャレンジ精神が湧き出るため、生産性を高められるとされています。

ここでの困難な目標とは、無理難題な目標という意味ではなく己の弱点を改善しなければ達成できない目標です。

 

社員一人ひとりのパフォーマンス力を高める目標設定は、会社の売り上げに大きく貢献します。成果が生まれることで社員のモチベーションのアップにつながるでしょう。

 

今回ご紹介した「SMARTの法則」「ベーシック法」「3点セット法」をもとに、社員のモチベーションを高められる営業目標を設定してみてください。

【例文つき】営業マンの目標設定シートの作り方

 

上記のような工夫を活用すると、目標設定が進んでいくはずです。

次は、それらを目標設定シートに落とし込んでいきます。

 

まずは、営業マン自身に目標設定シートを提出させるのがベストです。

自分で考えて目標設定することにより、営業マンの働きぶりや自主性に変化があるはずです。

 

しっかりした目標設定ができれば、シートの内容は自由で構いません。

ここでは筆者が考えた目標設定シートの例を紹介しますね。

 

〇年〇月の目標設定シート
営業部全体の売上目標 売上額:1,100万円(前月比110%)

 

(補足:全体の売り上げ目標を共有します)

 

ここから下を、各個人に書いて提出してもらいます。

 

<新人Aさんの場合>

私の売上目標 売上額:前月の売上60万円から10万円アップし、70万円を達成。
売上目標の具体的な根拠
①訪問軒数アップ 先月は1日3軒×20日×客単価2万円×50%で60万円でしたが、

今月は訪問軒数を1日3.5軒に上げることで売上を達成します。

新たな取り組みとして、訪問した際に、「合意」というトークを取り入れることで、時短になるので、訪問件数をあげられる。

 

単に、1日の訪問件数を増やします、と宣言だけでは目標数値は達成することは出来ません。

今まで続けてきた営業のやり方と、これからやる営業のやり方に、どのような変化をさせるのか?

それが無いような、目標数値アップは、絵に描いた餅になりかねないのです。

 

大切なのは、目標に対しての具体的な根拠があり、実現可能性があるかということです。

前月よりも売上アップを狙うという計画には、それを可能とする根拠が必ず書かれているかをチェックする必要があります。

 

プランニングに行き詰っている部下がいたら、一緒に目標達成のための根拠やアドバイスを行い、チーム全体の売上アップの底上げをしていきましょう。

 

 

ぜひ、参考にしていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

執筆者:株式会社マーケティング・トルネード 代表取締役 佐藤昌弘

 

 

 

執筆:株式会社マーケティング・トルネード 代表取締役 佐藤昌弘

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